役に立つ、変な奴 ページ32
オレの店に役立たずは要らねェ。だが、今度入ってきた新入りはそれなりに使える奴だ。少々トロくさいが、働きぶりには期待できる。
ﾛﾋﾞﾝ「険しい顔をしているけど、どうかしたかしら？」
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「…アレは何だ？」
客席のテーブルに見覚えのないコースターが乗っている。買った記憶もねェ。誰だ持ち込んだのは。
ﾛﾋﾞﾝ「ああ、あれは新人さんが作ってきてくれたのよ」
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「…あの新入りか」
余計な事を、と思ったが、ニコ・ロビンに実物のコースターを手渡されてすぐ気が変わった。
厚紙に、大口を開けた鰐とそれを煙で取り囲む葉巻のイラスト。また外側に金色の縁取りをして、この店の雰囲気に合わせている。…存外悪くない。
ﾛﾋﾞﾝ「素敵でしょう？昼休みの時間に作ってくれたんですって…気が利く子ね」
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「…後で礼を言っておけ」
ﾛﾋﾞﾝ「あら、貴方から言ったほうが、あの子喜ぶわよ」
−−−−−−−−−
陽が傾いて、カフェとバーの営業時間が入れ替わる頃、新入りはまだ入口の所で掃き掃除をしていた。
『お疲れ様です！あっ…バーの営業がこれからでしたね…』
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「お前はもう上がりの時間じゃないのか？」
『あと、ここだけ掃除したら帰ります』
ただの掃き掃除だが、心底楽しそうな様子の新入り。妙な奴だ。なぜそんなに熱心になれる？
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「…お前は、何でウチに来た？」
『…え？…そうですね、その…』
新入りは言葉を濁して考え込む。本来なら動機など知る由もねェがな。多少の興味本位だ。
『あの…情報集めの為なんです…』
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「あ？」
『ある人を助けたくて…その為にここで情報を得ようとしていて…』
そう言って俯く新入り。
人の為…か。
それが善か偽善かは不思議と気にならなかった。店のためにコースターを作ってくるような奴だ。信じるわけじゃねェが、疑う気にはならねェ。
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「…あのコースターはお前が考えたのか？」
『はい、店長さんのイメージで作ったんですけど…』
ｸﾛｺﾀﾞｲﾙ「オレのイメージだと？」
『そうです、優しそうなワニさんでしょう？』
ポケットから例のコースターを取り出して、新入りは穏やかに笑った。
人を気遣う奴でもよく働く奴でも、オレにとっちゃ好都合だ。役に立ちさえすればいい。
そして、コイツは非常に役に立つ。
…ただ少し、変な奴だ。
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
