この関係は ページ23
一日が楽しすぎてあっという間に過ぎるとはまさにこの事だ。傾いた陽を背中に受けて、帰り道を辿っている。並んだ二つの影の間に空いた距離が、今の関係だろうか…。
『今日はすっごく楽しかった！ありがとうね！』
ｿﾞﾛ「ああ、そりゃよかった…」
家まで送ってくれるなんて、やっぱりゾロは優しい。
今日一日は本当に楽しかった。深く考え込まず、ただ目の前の事に夢中になれた。このまま答えを出さずにいられたら…とか、ゾロを傷つけたくないだとか、考え始めたら止まらないから。
『…ゾロ…この前の返事ね…』
ｿﾞﾛ「ほら、返す…大切なモンだろ？」
言葉を遮るようにブレスレットを渡すゾロ。無愛嬌な様子に、言うのを躊躇ってしまいそうだ。
『ねぇ、ゾロ…』
ｿﾞﾛ「うるせェ」
『ちゃんと考えたの』
言うな、と目で訴えているのが分かる。それでも私が立ち止まると、ゾロも嫌そうに止まって振り返った。
『あの…本当に今日、楽しかったの……ゾロの事好きだよ？…でも…』
ちゃんと言わなきゃ。そう思えば思うほど、言葉に詰まる。目頭が熱くなって視界が滲んできた。胸が苦しいのは、きっとゾロも同じはず。
『ごめん…ゾロの気持ちには応えられない…』
俯いて地面を見ていた。風が流れて、二人の間に枯れ葉が通り抜ける。…これで良かったんだ。
そう思っていた時、ゾロがその距離を詰めた。
ｿﾞﾛ「お前が誰を想ってんのかなんて、こっちは分かってんだよ……お前がオレを見てねェのも分かってる…でも、納得は出来ねェ！諦められる訳ねェだろ…」
私の前まで来ると、何を思ったか、ブニッと私の両頬をつまんで引っ張った。
『いひゃいよ！何すりゅ…』
ｿﾞﾛ「無防備で危なっかしくて心配かけるくせに、人を煽るし、ニブいし…こっちの気も知らねェで、いっつものんきにしやがって…」
ゴツゴツした両手で私の頬を包み込むと、意地悪さたっぷりにゾロは笑みを浮かべる。
目の前の視界が暗くなると同時に、おでこに温かいものが触れる感触がして、口付けられたのだと気づいた。
『ゾ、ゾロ…』
ｿﾞﾛ「ま、これくらいしなきゃ割りに合わねェだろ？」
フッと笑って見せるゾロ。顔は赤いままなのに、どうしてそんなにも余裕そうなのか。
やっぱりゾロは、前より強引になったと思う。
どうしたって私は振り回されるしかないんだ。
名前も付けられない。この関係に。
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
