手離せない ページ18
オレのせいで何度危険に巻き込まれようと、お前はオレから離れない。「そばにいろ」という自己本位なオレの命令を、お前は忠実に守っている。
『送ってもらえるなんて思ってなかったです…ありがとうございます！』
ﾛｰ「…まだ奴等がうろついてるかもしれねェからな」
今後も用心しておけ、と伝えると、Aは食い気味に頷く。だがその表情は屈託のない顔。さっきまでドフラミンゴに捕らえられたとは思えない程、のんきな顔をしてやがる。
気丈に振る舞っているのか、はたまた本当に能天気なのか。見ているだけじゃ分からねェ。
『前にも家まで送ってもらった事がありましたよね？』
ﾛｰ「…ああ」
『確か…雨の日にケガをした私を、先輩のお家の病院で手当てしてもらって…』
私はいつも助けてもらってばかりだとか、やっぱり先輩は優しいだとか、随分と前の事を嬉しそうに語るA。
本来ならそんな飾った言葉は耳に入らねェのに、お前が言うと腑に落ちる。むしろ心地良さすら感じるのは、本当に不思議だ。
ﾛｰ「……もうケガはするな」
『っ…はい！』
快活な返事の後、ゆっくりと微笑むA。夕陽とあいまって頬が淡い紅に染まっている。
…本当にお前は、オレを「ほっとけない」だけなのか。だから、そばにいるのか。
あと少しで家に着くという所で、Aは声を上げた。
『あ、エース兄！』
視線の先に男が一人。同じクラスのポートガス屋か。こっちに気づいたのか、目の色を変えて走って来る。…なるほど。ただの兄貴じゃなさそうだ。
ｴｰｽ「こいつはどうも…妹が世話になったな…お前が送ってくれたのか？」
ﾛｰ「…ああ」
ｴｰｽ「後はオレが引き受ける……A、帰るぞ」
『え、エース兄…』
戸惑いながらも、オレの方に会釈をしてから、そのまま兄に引かれていくA。様子見も兼ねて、オレはあえて渋る事はしない。
小さくなっていく背中を見届けて数秒。
ポートガス屋は振り向きざまにオレを睨む。無言の気迫。手ェ出すな、って意味か。よっぽど大切な妹なんだろうな。
だが、そんなものに気圧される程ヤワじゃねェ。その程度の気持ちなら、とっくに諦めもついたはずだ。
Aはオレの傍から離れない。
それは、オレが命令したからでもなく、まして
Aがオレを「ほっとけない」からでもねェ。
オレがAを手放せねェから。
いや、手放さねェからだ。
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
