まだ知らない ページ17
小窓から西陽が差している。手足は解放されて逃げることもできた。だけど、まだ少し此処に残りたいような気分だった。
しかし、ドフラミンゴさん達が出て行ってから数分も経たずに、再び倉庫の扉が勢いよく開かれた。
逆光を背にした人影が浮かび上がる。
『ロー先輩…！！』
そこには、息を切らしたロー先輩が立っていた。
…私を探してくれたんだろうか。きっとひどく心配をかけたに違いない。先輩は今、見たこともないほど悲愴な顔をしているから…。
『…私、何もされてないですよ！今だって解放されて動けますし、全然だいじょう…』
答えるより早く、ロー先輩は傍まで駆け寄って私を抱きしめた。
ﾛｰ「勝手にいなくなるな…」
耳元で低い声が響く。噛みしめるような言い方…。心配をかけてしまったのに、ロー先輩が必死で私を探してくれたんだと思うと嬉しくて仕方ない。
この温もりに懐かしさを感じた。…前にもこんな事があったな。あれは学校の狭い倉庫に閉じ込められていた時。ロー先輩が私を見つけ出して、抱きしめてくれたんだ。
『…あれ…先輩…？』
頭の後ろと背中に回った手は離れないまま、長い抱擁が続く。先輩の様子がいつもと違う気がした。何より表情が確認出来ない。それでも、まだもう少しこのままいたい…。
ﾛｼﾅﾝﾃ「ロー！Aは見つかったか？って……悪い、邪魔したな」
『あっ！いえ！ロシーさん！大丈夫です！』
不意に現れたロシーさんに、慌てて体を離した。一瞬、ロー先輩は顔をしかめてロシーさんを見てから、私に向き直ってそっと頬にふれる。
ﾛｰ「…ケガはないか？」
『はい！この通り問題ないです！あの…ドフラミンゴさんですが…』
ﾛｰ「あいつはオレが生かしちゃおかねェ…」
ギリッと奥歯を食いしばるロー先輩に、私は宥めるように続ける。
『違うんです…ドフラミンゴさんの標的は別の人で…それに、そんなに悪い人じゃ…』
ﾛｼﾅﾝﾃ「A、もう今日はローに送ってもらって、家で休め…怖かっただろ？」
『あの…ロシーさん…』
ﾛｰ「…帰るぞ」
ロー先輩に手を引かれて倉庫を出る。
ここは第3倉庫。ドフラミンゴさんの勢力の根拠地。…またここに来るだろうか。
真実はまだ遠い。ドフラミンゴさんの事も。髪飾りの事も。
私には知らない事が多すぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
