もう我慢しねェ ページ13
「ほっとけない」
そう告げたゾロは、今まで見た中で一番真剣で、必死で、切なくて、心に突き刺さるような瞳を向けていた。
『…ゾ、ゾロ…？』
どういう意味かも分からない。何て声をかければ良いのかも分からない。戸惑っていると、それに気付いてか、ゾロは呆れた口調で言う。
ｿﾞﾛ「この期に及んで、まだ分からねェとか言うつもりか？」
『わ、分からない…』
あのなぁ、とゾロは近づいて、私の目元をこする。滲んだ涙を拭き取られ、視界がはっきりした所でようやく、ゾロの顔が赤く染まっていることに気がついた。
肩に置かれた手が熱い。顔をしかめたまま何も言わないゾロ。私まで顔が熱くなるのはきっと、ゾロのが移ったせいだ。
『…何でロー先輩に会っちゃダメなの？』
疑問を投げかけても、ゾロは黙ったままだ。言葉を選んでいるのか、考えているのか。
目を合わせることが出来ないまま、西陽が側の机を照らしているのを見ていた。二人きりの教室で長い沈黙ばかりが続く。
『…聞こえてる…？』
顔を上げたその時、
小さな消え入りそうな声で、それでもはっきりと聞こえた。
ｿﾞﾛ「…好きなんだよ」
ゾロは一層声を強める。
ｿﾞﾛ「お前が好きだから、目が離せねェんだよ…！他の野郎に会わせたくねェし、誰にも渡したくねェ！」
荒げた声。熱っぽい瞳。余裕のない表情。真っ直ぐに私を捉えたまま、肩を掴んで離さない。目を逸らすことも許されない。
痛々しいほどの切実さが伝わってきて、胸が熱くて苦しい。
『ゾロ…』
ｿﾞﾛ「…今は何も言うな」
引き寄せられるままに、ゾロに抱きしめられる。力強い腕と熱すぎるぬくもり。服越しに聞こえる、ドクドクと忙しない鼓動。…こんなに速いんだ。
今まで全く知らなかった…。ゾロがそんな風に私を想ってくれてたなんて。
ｿﾞﾛ「これで分かっただろ」
『……うん…』
腕を離して、ゾロは満足そうにニッと笑ってみせる。いつもの余裕げな表情に戻ってきていた。紅潮した顔は変わらずだけれど。
『あの…私…』
ｿﾞﾛ「…今までの分、全部、返させてもらうからな？」
言葉を遮って、ゾロは続ける。
ｿﾞﾛ「散々心配かけて、煽っておいて、オレばっかりってのもな？ これから覚悟しろよ…
もう我慢はしねェ」
ギラリと光る目。ノーとは言わせない圧力。明らかな宣戦布告。
きっともう、ただの親しい「友人」とは呼べなくなるのだろう…
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
