431.青side※ ページ9
ここ最近は体調が良いらしく
昔の姉ちゃんに戻ったみたいで
俺は会いに来るのが楽しかった
もはやフロントの人ですら
俺が来ると「おかえりなさいませ」って
カードキーを渡してくる
姉ちゃんが帰ってくる前に
ベッドで寝てたりしても怒らないし
地元のツレレベルの感覚になってた
夕方、この部屋に来るまでは。
「Aから既読もつかん。電話も出ない」
って騒ぐ照史に頼まれて仕事終わりに立寄った
何度目やねんw
言われる度に俺が様子見に行くけど
いつも仕事中やったり
返したつもりやったり
照史は心配性すぎる！と姉ちゃんが笑って終わっていた
「飯食った？」ってメッセージに既読は付かない
ルームサービスでも頼めばええかと
いつも通り気楽にドアを開けると
妙に片付いた部屋が広がっていた
まるで引っ越し前夜のよう
確かに…
数日でホテル生活も終わりやけど
流石に早くないか？
見渡しながらゆっくり室内に入ると
ソファで眠る姉ちゃんを見つけた
ホテルのパジャマ…？
寒くて嫌いって一度も着てなかったのに
色々な違和感を確認しようと
声を掛けようと近付いた時に
違和感の正体？が目に入った
窓際に置かれた
異様に膨らんだゴミ袋
毎日掃除の人が回収するから
こんな事にはならないはず
姉ちゃんには声を掛けずに
緩くしばられた袋を開けて覗いた瞬時に
「ヤバい」と感じた
普段着てた服
パソコン
靴
読んでた本
プライベートのスマホ
飲んでた薬…等など
日常的に使っていた物が全て詰め込まれている
なにがあったん
昨日やって普通やったやん
「姉ちゃん…姉ちゃん…？」
姉ちゃんの肩を揺すりながら声を掛けると
顔を顰めて「ん…痛…」と呟く
声を掛けると反応するけれど
起きてる訳ではなさそう
体はすごく熱い
どうしよう
どうしたらええねん
ふと振り返ると
テーブルに投げられた薬のシート
雑に飲んだ跡のある、見たことのない薬
名前を検索して背筋が凍った
すぐに医療者の友人にビデオ電話
焦る俺とは対象的に
画面に薬と姉ちゃんを写すと
冷静に対処法を教えてくれた
弱い薬だし、飲んだ量や状態を見ても
救急車呼ぶほどではない
ただし、嘔吐やその他急変したら即救急車
いつ飲んだかわからないけれど
多分12時までには、ちゃんと目を覚ます
可能なら水分取らせて
目ぇ覚まさなかったらまた連絡して
そう言って電話は切られた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
