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430. ページ8

ふと目を開けると

ベッドで布団を掛けて横になっていた





私…ベッドで寝たっけ…?





体を起こし
部屋を見渡すと

壁に掛かる仕事用スーツと
真下に置かれたブーツ

その横にあるデスクに並ぶパソコンと文房具

椅子に掛かった鞄



ローテーブルには
薬の入った缶や腕時計
棚に並べていた筈の本やアルバムが並べてある





自分では絶対しない配置に違和感を感じる

誰か…来たのかな





部屋の中は物音1つしない





時計はもうすぐ21時を指している





私…いつホテルに戻ってきたんだろう





夕方、病院で薬を受け取ってからの記憶が
スッポリ抜け落ちてる


着替えてるからシャワーは浴びてるのかな





痛くはないけどぼんやりしてる頭で
必死に時間を遡るけれど

酷く悲しくて苦しい感覚だけが残っていて
思い出せない





それでも頭の中にある断片をかき集める





あ、新しい薬飲んで寝たんだ

ゆっくり寝たいなって





先生の説明した通り
気持ちが落ち着いてる気がする

記憶はないけれど

日々感じていた絶望的な孤独感はなく

今の状況を冷静?に把握しようとしてるから





ケホケホと咳き込んで気が付く

少し息苦しい





そうか
昨日も一昨日も薬飲んでないんだった


それに

喉がひっついたような感覚





なんか…飲みたいな





立ち上がろうと手を着いた枕元に
ペットボトルが転がっている

半分程減った水は
まだほんのり冷たさが残る





私が決して買わない
キャップが黒いミネラルウォーター


なんでコレがココに…?




薬のせいなのか細かい事が気にならなくなっていて
まぁいいかと一口飲むと
喉に落ちる冷たさで何かを唐突に思い出す



寝てる時に水のんだ…?



温かくて柔らかくて冷たくて
美味しかったってぼんやりした記憶




なんだっけと考えていると
枕元に落ちていた1つの空パッケージを見つけた



解熱剤だ

無意識のうちに飲んだのかな

あ、これを飲んだ時の水が美味しかったのかな





そう言えば前も無意識に
薬飲んでた事があった

意識飛んでる私、なかなかやるじゃんw





クスクス笑いながらソファの前に座り
いつもの缶を開けると
仕分けしていたはずの中身は
グチャグチャになっていた

…落としたっけ?

まぁいいかと必要な薬を手に取り
残った水で流し込む




違和感だらけの部屋の中を見渡していると
部屋のドアがガチャリと開いた

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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時

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