456. ページ34
5分程経った頃
ゆっくり目を覚ました
「A」と呼ぶと
寝起きのポワンとした表情から
驚いた顔へ
「照史!?え?!本物?」
「本物てwwせやで、俺やで」
「え?!何で…」
「どーしても会いたくなってな!
先生から時間聞いてん」
そう笑うと
困惑していた彼女も
俺が何も知らないと理解したのか
ニコリと笑って俺に向かって手をのばす
チューブを避けて抱きしめると
「来てくれてありがと」と言いながら
彼女の腕が背中に回る
あの日みたいやけど
あの日とは違う
いい意味でも
悪い意味でも
あの日とは違う
「んー♥ホントに照史だ♥
幸せすぎて死にそう」
なんて言いながら顔をスリスリしてくる
「可愛すぎるなぁ食べたろか?」
「照史ならいいよ」
「あ、そっち?w」
なんてバカップルぶちかましながら
しばらくそのまま抱きしめて居ると
彼女が俺の襟足に触れた
「…こんなに髪明るかった?」
俺から離れて前髪に触れた
「昨日もこれやったで」
「わ、ガチガチに固まってる」
「まだ仕事残ってるからな」
「へぇ〜」
ニヤリと笑った彼女は
俺の頬を包み
長く深くキスをした
「まっ…待て待て!」と引き剥がすと
相変わらずニヤニヤしとる
「仕事モードの照史と
初めてちゅーした」
「モードとかちゃうやん!
昼間!ここ病院!」
焦って必死に喋る俺に
いつもの優しい笑顔になった
ほんの少し
寂しげな空気を纏い
「明るいのも似合う!
照史は何でもカッコいい!」
また(≧▽≦)みたいな顔になる
この急な無邪気さに
違和感は感じるけど
それ以上に嬉しいんよ
Aの笑顔は人を幸せにする
明るくて
パッと花が咲くような笑顔
可愛くて
愛しくて
切なくて
何かが込み上げてきて
誤魔化すように抱きしめた
「好きやで、A」
全ての気持ちを詰め込んで
短い言葉にまとめる
「ねぇ照史」
「ん?」
「私…幸せだよ
照史が居てくれるだけで
笑っててくれるだけで幸せなのに
側に居てくれるなんて
幸せ過ぎて死にそう」
気持ちを真っ直ぐ言葉にする所は
何も変わっていないはずなのに
俺の胸は締め付けられた
「俺もや
また怖い時は言うてな
抜け出してでも来るから」
「ん、ありがと」
触れるようなキスをした後
時間の許す限り
他愛もないおしゃべりをした
・
彼女の病院に付きそうのは
コレが最後になるなんて
この時の俺は
微塵も思っていなかった
97人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時