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「Aが元気になって良かったなって」
「照史が居るんだから
元気に決まってんじゃん♪」
ニコニコ笑う姿は
無理してる様子もないし
何かを隠してる感じもしない
常に纏っていた不安感や寂しさすら
今は感じない
そんな様子に
何故突然来たのかとか
あの涙はなんやったんやとか
聞いていいのか分からなくなる
一瞬感じた安心感は消え去り
俺の中の不安は更に強くなった
「嬉しい事、言うてくれるやん」
不安感を払拭したくて
彼女の頰を両手で包んでキスをする
さっきより甘く
長く
長く
堪能していると
急に肩をグイと押され唇が離れた
「…ﾊｧ…これ以上は…ダメ」
至近距離で彼女が頰を赤くする
「何で？」
「………したくなっちゃう…から」
今日は話を聞かなアカンから
スイッチ入らんように
深くせんかったのに
こんな顔で
そんな事言われたら
我慢出来ひんやんけ
「…嫌？」
「だって…
いっぱいイチャイチャしたいんだもん
だから…先に寝る準備しよ？」
・
寝支度を終えてリビングに戻ると
彼女は窓際で空を見上げていた
テレビも消えて更に暗くなった部屋で
月明かりを浴びる彼女は
なんだかとても儚く見えた
「空見るん好きなや」
そう言いながら彼女を後ろからハグする
「私も…キラキラした星になりたい」
「星？」
顔を覗き込むと
画面を見ていた時と同じ
微笑んでいるのに寂しげな表情をしている
くるりと振り向いて向かい合わせになると
彼女は俺の顔をジッと見つめる
視線を合わせるわけでもなく
俺の髪やパーツを1つ1つ見ている
見すぎやwって突っ込もうとすると
視線が絡んだ瞬間
「ねぇ照史？」と俺を呼ぶ
基本的に柔らかく微笑んでいるのに
不安気な空気が漂い始める
彼女が何か話そうとしている
きっと
パニックになっていた理由
揺れる瞳が躊躇いを表す
決して俺には向けてこなかった
その空気感に逃げ出したくなる
逃げるな…俺
しばらくそのまま黙っていた彼女は
俺の頬を両手で包み
「かっこいい」とニコリと笑う
逸らされた話題
少しホッとした自分に腹が立つ
聞き出すのは怖い
でも
一番怖いのは
彼女やから
「………違うやろ
何か言おうとしたやん」
今日一の勇気を振り絞って踏み込んだ
彼女が濁した話題を
深追いした事はない
そんな俺に
少し驚いた表情をした
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
