445.少し変更 ページ23
「A…」
「平気だよ……大丈夫
でも…
もうちょっとだけ…」
とても眠そうに俺の胸に顔を埋めながら
ゆっくりゆっくり呟く彼女
「平気……？
大丈夫……？なのかなぁw
大丈夫じゃなきゃ…ダメなんだよね
がんばらなきゃ…」
悲しすぎる独り言のような言葉に
何も返せなくて
背中を撫でることしか出来なかった
・
しばらく経ってから顔を覗き込むと
安心しきった表情で腕の中で眠っている
薄く口を開いて
静かに寝息を立てる姿は
ホンマに愛しい
「そんな事、頑張らんでええって
言ってあげられなくて…ゴメンな」
彼女の頬をそっと撫でる
もうちょっとだけ待ってと
頑張るからと
微笑む彼女からは
痛々しさが無くなって
ほのかに寂しさだけが漂っていた
昔みたいな明るいAに戻ってはいるけど
今の状況を忘れたわけでは無いんか
照史の誕生日終わったら…
別れるつもりなんかな
照史も少しずつ覚悟してるのが分かる
どれだけ覚悟したって
簡単に受け止められるような話ちゃう
WESTは無事でも
照史が壊れてしまうかもしらん
そうならないようにせなあかん
…どうやって？
答えなんか出るかいや
もうさ、
2人で…海外とか逃げたらえんちゃう？
照史やったら何処でも器用に生きていくで
Aが側におったら無敵やろ
バリ島とか南の島で
真っ黒になって現地ガイドとかしてる
照史を想像して笑ってもた
直後
彼女は遠出が出来ない事を思い出して
想像が頭から消える
彼女には
逃げ道も救いの道もない
……………ﾁｯ
盛大な舌打ちが出ると
彼女が薄く目を開ける
「すまん、起こしてもた」
ゆっくり瞬きをすると
手を伸ばし
俺の前髪に触れる
「淳太くんは本物の王子様だね
短いほうがすき…似合ってる」
そう呟くとまた眠りに落ちた
髪切ったん気付いてたんか
一生この長さで居ろかな
前にも言ってたな
寝たふりした俺に「王子様」って
誰を迎えに行くの？って
「腕の中に居るプリンセス
迎えに来たで
今だけは…俺のお姫様や」
つやつやの唇から目が離せない
「我想亲你」
引き寄せられるように
唇を近付けた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
