425.黄色side ページ3
人間って恐ろしいもんで
あり得ない状況も
時間が経つと慣れてくる
Aが週ごとにホテルを移動している事も
週の半分熱が出てる事も
「日常」になってしまっていた
心配してないわけちゃうねんけど
いつも「大丈夫」と笑う彼女の笑顔は
想像以上に俺達を安心させた
流星は相変わらず週1でホテルを予約してる
たまに
「姉ちゃん、ほっといたら飯食わへんから
ルームサービスが充実したホテルにするわ」
とか
「高層階やとエレベーターダルいから
低層階にするわ」
とか
もはや誰の彼女やねんと
言いたくなるような情報を
照史に投げていた
俺も忙しくて
誕生日以降会ってもないし
メッセージもろくにしていない
照史はと言うと
パパラッチに付け回されるのにも慣れて
彼女とは頻繁に連絡とってるって嬉しそうやった
もちろん体調が突然良くなるわけでもなく
忙しい時含め返事が来ない時もあるけど
それでも前より連絡出来ているからと
嬉しそうに
少し不安気に笑っていた
あの日から1週間くらいしてから
友達との遊びを解禁した
相変わらず隙間時間を限界まで使って
バイクやら沖縄やらゴルフやら
楽しそうに過ごしてる
Aからも、悪い事してるわけじゃないんだから
普通に楽しく過ごせばいいと言われてる
って複雑な表情で言って
1週間悩んで
元通りの生活に戻した
そう
俺たちは日常に戻った
戻っていないのは唯一人
Aだけ
めちゃくちゃ心配やけど
日常の忙しさに振り回されて
メッセージ1つ送ってない
流星も忙しいけど
東京の仕事が多いから
「姉ちゃん寂しがるやん」と言って
時間があれば遊びに行っている
ホテル移動するたびに
部屋で撮った写真を送ってくる
2人で飯食ってる所とか
一緒に酒飲んでる所とか
もはや嫉妬ではなく
アイツが1人じゃないって事やから
送られてくる度に「元気そうやな」って
俺も照史も安心しとった
誕生日からそろそろ1ヶ月
パパラッチも離れるし
ホテル暮らしも終了
落ち着いたら
また飲みに行こうか
セキュリティ厳しめの店なら行けるか？
なんて考えてた
とある日の22時頃
流星からメッセージが届く
「今から○○ビルの最上階の店、来れる？」
俺が考えてた「セキュリティ厳しめの店」の1つ
流星からの誘いは珍しくて
幸いマネージャーに送ってもらってる途中
OKの返事をして
行き先を変更した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
