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469. ページ47

別れるにしたって
こんな終わり方せんでもええやん


お前やったらもっと円満に


ありがとうって
寂しいねって
泣きながら笑いながら
恋人を解消する事やって出来たやろ





なんでこんな形を取ったんや





俺にも流星にも何も言わないで

どこに行ったん











この日から照史は
カメラの前でも
うまく笑えなくなった




今までも
ふとした瞬間に視線が外れたり
メンバーの笑い声で我に返ったり

SNSのカメラだと
そういう場面が抜かれる事も多くて

鋭いファン達は気にしていたけど




今回は明らかに元気が無くて

ファンが騒ぎ出した





「沙耶ちゃんと何かあったのかな」
「もしかして別れた?!お似合いなのに」
「えーショック…結婚して欲しかった」





心配する声で更に傷付く照史

見てられなくて
俺達は必死にフォローした



徐々に痩せていく照史を見ながら



「姉ちゃん…どこ行ったんかな」
と、寂しそうに項垂れる流星



「…さあな」

「なんでこんな事したんやろ
 計画的やん…完全に」

「…」

「先週?くらいに会うてん、姉ちゃんに
 照史の事大好きやろってきいてん」

「おん」

「そしたら、大好きやけど、
 それだけじゃ駄目なんだって言ってた」

「駄目?」

「私じゃ、足りない事ばっかりやって」





『照史くんの好きな事は
 何も出来なくなっちゃった』



足りないわけないやろ



「それ、照史に言うた?」

「言えるわけないやんけ」

「…」





照史が潰れてしまわないか
メンバー全員心配しててんけど


思いの外持ち直して
表面上は、いつも通りの照史に戻っていった

そもそも期限付きで始まった関係であり

離れようとしている事も
それは照史を守ろうとしての
決断だと言うことも

照史はちゃんと気付いていた



誕生日のあの日
彼女が泣きながら沙耶ちゃんに伝えた内容は
ツレ周りに浸透していき


周囲の人間は全力でサポートした


2人の悲しい決断は
みんなの心に響いている





友達に囲まれている相方の姿は
ホッとするんやけど


彼女はきっと
今も1人で泣いてるんやろうな


悲痛な泣き声を思い出して
胸が…痛い




その後、俺達は
Aの居そうな場所を探し回った


病院に連絡するも
個人情報は守秘義務がある

主治医は別の病院へ移動したと聞かされた


時間のある限り
病院や職場、元自宅の周辺


一緒に行った店


必死に探し回るけれど
痕跡すら見つけられない





Aは

完全に

俺達の前から消えた

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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時

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