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434. ページ12

「ホテルついて…えっと…
 頭痛くて…水飲んで…
 あれ?これは違うか」

「痛い痛いって言ってたから
 少し起こして飲ませたで」

「そっか、ありがと
 冷たくて美味しかった」



それより前の話やん
私物ゴミ袋に入れたんは



「つか、この薬なんなん」

「あ、新しい薬を貰ったの
 気持ちが落ち着いて、ゆっくり眠れるって」

「一気にこんなに飲むん?」



シートの半分程を雑に飲んだ後を見せると
びっくりしたような顔をした



「適当に飲んだから…
 でも、本当にゆっくり眠れたよ」



ここまでの話を聞く限り
ホンマに覚えてないんやろうな





これって…

壊れてもうたってことやん





ニコニコ笑う姉ちゃんを見てられなくて
視線を逸らすと

「りゅせくん、どしたの?大丈夫だよ
 心配かけてごめんね」と
頭を撫でてくれた





ホンマに壊れてもうたんかもしらん

でも

新しい薬のお陰なのか
別の理由かは知らんけど

その記憶がすっぽりと抜けて
嫌な事を考えすぎなくなって


昔の姉ちゃんに戻ったってことか?





覚えてないならその方がええんかも

アルバム捨てたなんて知ったら
絶対ショックやろうし





姉ちゃんに視線を戻すと
俺を心配そうに見つめている

額に手を当てると
熱は下がっていた





「今、体調どう?」

「元気だよ!」

「ほな、久しぶりに飲みに行こか!
 腹減ってるやろ?」

「空いてるけど…大丈夫なの?」

「ちゃんとした店にするし、
 もうパパラッチも居らへんやろ!」

「…本当に?」

「大丈夫やって!
 あ、でも事務所寄らなアカンから、
 1時間後に合流しよか
 場所はまたメッセージするわ」




嬉しそうに笑う姉ちゃんは

本当に昔に戻ったみたい



色々あってからも
ニコニコしてるイメージはあったけど
1段階上の笑顔な気がする




それだけ色々背負ってるって事




これ以上は抱えきれない俺

酒とお兄ちゃんの力を借りる事にした









「壊れてもたって…どういう意味なん」



険しい顔をして俺に詰め寄る淳太

上手く説明出来る気がしなくて

あの写真を見せた



「ゴミ袋…?なんこれ」

「部屋の私物が全部入っとった
 パソコンとかスマホとかスーツとか
 薬も捨てられとった」

「はぁ?!」

「入ってなかったのはこれだけ」



ベッドに並べられた写真も見せると
更に険しい顔をした



「何でこんな事したん」

「……覚えてないらしい」



そう言うと
とても悲しそうな表情になった

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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時

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