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彼女の横にピッタリ座り直し
ちゃんと寄りかからせる
「なんでそんな時に誘うねん
もっと体調良い時にせえや」
「淳太くんに
早くお礼が言いたかったし…
会いたかったの」
会いたかった…？
「なんか…あったんか？」
なにか理由があるはず
わざわざ言葉にするだけの理由が
しばらく黙っていた彼女が
静かに話しだした
「私ね…もう出来ないんだって…ダイビング」
「…え？」
照史の趣味に付き合ってるうちに
Aもハマってるって言うてたよな
「照史くんは、治ったら行こうって
言ってくれてるけど…
私の体はもう
海に潜れるような状態まで回復しないだろうって
医師に言われたの」
「…そっか」
「これ以上
照史くんの笑顔奪いたくなくて
もう無理ってのは秘密にしてる
あ、熱が続いてるのも言ってない
淳太くんには
すぐバレちゃうねw
何でかなw」
他にも
いつ発作が起きるか分からないから
遠出が出来なくなって
沖縄どころか
東京から出るのも難しい事
体調が不安定だから
体力が少しずつ削られて
疲れやすくなってる事
ポツリポツリと話す
「照史くんの好きな事から
出来なくなっていく」
「…」
「時間が経てば経つほど増えて…
治ったらまた一緒に行こうって
笑顔で沢山励ましてくれるのに
照史くんからは幸せいっぱい貰うのに
何一つ返せないどころか
「病気を治す」って普通の事すら
出来なくなっちゃた
幸せになって欲しいだけなのにな」
「……」
「私…なんか悪い事したのかなぁ
結構頑張って
生きてきたつもりなんだけどなぁ…
ﾌﾌﾌ
上手く行かないねぇ人生って…
本当、自分が嫌になる」
彼女から吐き出された弱音は
想像以上に深くて重くて
何も言葉が出てこない
俺の服の裾を握る彼女
不安な時の無意識のしぐさ
その手をそっと撫でながら
「Aはいつも頑張ってる
頑張りすぎやねん
悪い事なんて、なんもしてへん。
絶対に」
と必死に絞り出した
「…………そっか。
ありがとね……淳太くん」
と呟くように言うと
肩に乗る重みが増して
スウスウと静かな寝息が聞こえてきた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年2月22日 23時
