373. ページ40
「姉ちゃんに連絡したんか？」
「したけど
既読もつかへんし電話も出ぇへん
平日やから仕事中なんやろうけど…」
仕事中にプライベートの
連絡が途絶えるのは
社会人なら珍しい事ではない
「誕生日やのに…
去年もろくな事してやれんくて
今年こそはって…」
「俺んちで会うたらええやん」
「俺とAが同じ場所に居るって
思われるだけでアウトや
特に今は…」
照史から聞く
上層部からの脅しとも取れる言葉
いや、脅しでも何でもない
この業界に居れば
嫌でも分かること
何とかならんのかな
パパラッチ振り切って
2人を会わせたりたい
姉ちゃん…落ち込んでるやろな
何か無いか
何か
考えているうちに
局についてもうた
「流星、しばらく周辺ウザくなるけど…スマンな」
「照史は悪ないやんけ！謝ったらアカンで」
そういったのに
照史は楽屋で全員に頭を下げた
彼女持ちのメンバーも居るから
注意したほうがいいのはそうやけど
深々と頭を下げる照史を見て
誰も責めたりはしなかった
「寄りに寄って…何で今日…」
頭を抱えて
床に視線を落とし続ける
照史が呟いた言葉
知らないメンバーに
彼女の誕生日やと伝える
2ヶ月ぶりに会える予定やった事も
詳しい話は伏せたけど
あまり体調が優れない事も添えると
誰かの口から「…えっ」と漏れた
淳太から「流星」と強めに咎められて
俺はそれ以上の口を閉じた
「彼女さんに連絡したん？
誤解やって伝えたんか？」
心配そうな顔をして
�陲舛磴鵑�照史に問う
「したけど…まだ話せてない
既読も付かん」
それ以上言葉が出てこない
照史の代わりに
淳太が付け加えた
「沙耶ちゃんと照史が仲良いんは
アイツも良く知っとる
誤解はしてへんと思う
それより…こんな騒ぎになって
照史の心配をしてるやろな
照史と、俺達全員と…沙耶ちゃんの
みんな幸せになって欲しいって
よぉ言ってるから」
姉ちゃんの悲しそうな笑顔が浮かぶ
自分が傷だらけでも
周りを優先する姉ちゃんやから
淳太の予想は多分当たってる
世間からの声
俺なら耐えられへん
恋人である自分だったら叩かれて
芸能人なら歓迎って
俺、要らんやんって思ってまう
しんどいやろな…姉ちゃん
「優しい人やな…心臓痛なるわ」と
姉ちゃんに負けず劣らず優しい�陲舛磴鵑�
悲しそうに微笑んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 | 作成日時：2022年2月22日 23時
