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369. ページ36
「桐山…何やってんだよ、こんな時に」
「今が大事な時だってわかるだろ？」
あの後
本社へ呼び出された
上層部が勢ぞろいする
不穏な空気の会議室で
低く静かな叱責の言葉を浴びながら
机に並べられた大量の写真を見て
唖然とした
船の上で
ウェットスーツ姿で隣同士で座り
カメラを覗き込む俺と沙耶の写真
海から沙耶を引き上げる俺
バランス崩して腕を回した所
ゴルフ場で
俺のサンバイザーを治す沙耶
ごはん屋に入る直前
至近距離で俺を見上げた沙耶と
笑いかける俺
沖縄でのプライベート写真
角度、状況、表情
どれもこれも絶妙なタイミング
望遠レンズやなくて
近い距離から撮った写真
カメラ目線のも数枚ある
売られた
瞬時に悟る
テレビで見た写真は
もっとゆるいヤツやった
こんなの出たら…
俺達がどんな言い訳したって
通用しないやろう
知らない人が輪の中におっても
ツレのツレやからって
警戒してなかったのが仇になった
同じ業界人であり
付き合いも長い沙耶とは
距離感も近い
何でも話せる親友みたいな立場
他にも人は居たのに
上手いこと二人っきりに見える
「○○プロダクションの沙耶で
間違いないな」
「これはっ」
「もう知ってるだろうけど
先方の事務所とは相談済だ
『プライベートは本人に任せている』
と答えるから」
「…は？」
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年2月22日 23時
