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352. ページ24
深夜
ベッドが沈む感覚で目が覚める
ゆっくり瞼を開き
音がする方へ目を向けると
閉まりきらなかった寝室のドアが
薄く開いていた
隣に彼女は居ない
トイレかな…とぼんやり思い
再び目を閉じ
意識をゆっくり手放そうとした時
薄く開いたドアの向こうから
苦しそうな荒い呼吸と
「痛い…」という
くぐもった小さな声が聞こえた
一気に目が覚めるのと同時に
『変わっていく彼女の日常生活に
出来るだけ
寄り添ってあげてください』
安西先生の言葉が頭をよぎった
彼女にとっての日常…
今までも
明け方に隣に居らへんかったり
不自然に座り込んでいたり
「どしたん？」と問う俺に
「喉乾いたから」
「スマホ落としちゃった」って
当たり障りない返事をしていた
きっとずっと隠していた
俺に心配かけないように
笑顔で全部隠していたんやろう
不自然だとは思っていても
突っ込んで問うことはしなかった
怖かったから
・
深呼吸をしてから
静かに立ち上がる
そっとドアを開けると
ソファの端に座り
ヘッドフォンをして
クッションに顔を埋める
彼女が見えた
集中したい時
気を紛らわせたい時
眠れない時
彼女はよく音楽を聞いている
寝室から掛け布団を持ってきて
彼女の隣に座り
二人共包み込むように
布団を掛ける
少し驚いたように肩を上げ
ヘッドフォンを外した
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年2月22日 23時
