太陽のようなあなた8 (ページ22)

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安西先生が濁した事を思い出す

海外に行けるかって聞いたら
守秘義務とか言い出して口を噤んだ

Aはどこまで知ってるんかな

単なる嫉妬だけやない
今の自分とリンクさせて
悲しくなってもうたんやろな

アルコールのせいで
あれもこれも
ぐちゃぐちゃになってる所へ

長谷川が残ったまま
俺が帰ってきたから
混乱したんかな

“ほな俺達も結婚しよか”

なんて気持ちのまま返せたら
どれだけ幸せか

・

俺の背中に腕がまわる

胸の中の彼女は更に泣き出した

「あきと…しあわせになってね

　あの写真みたいに

　だいすきなひとと
　かぞくになって

　いっぱいわらって
　いっぱい楽しいことして
　
　ずっとずっと…しあわせでいて」

彼女が語る
彼女の存在が一切無い俺の未来

相変わらず
自分がおったら幸せになれないって
本気で思ってる

フィクションとは言え
写真と映像で見てもて

一気にリアルに感じたんかな

『お揃いの指輪して
　お腹には照史の赤ちゃんが居て』

『私には出来ないから』

俺が思っている以上に
彼女の病状は悪いのかも知れない

全部…分かってるんかも知れない

俺が知らない全てを

「俺は今が一番幸せやで
　Aが腕の中に居る今が

　大好きなのはAや

　これからもいっぱい
　ドライブデートして
　色んな所いこな」

反応が無い彼女の頬を
両手で包み
顔を俺に向ける

涙でぐしゃぐしゃな表情は

胸に刺さる

「俺の腕の中が
　一番幸せな場所なんやろ？
　
　ほな泣かんでええやん

　俺もAも
　今が一番幸せな場所に居る

　

　大好きやで」

ゆっくりキスを落とす

「わたしも…だいすき」

止まらない涙で
俺の手も濡れる

再び胸に閉じ込めた

泣け泣け

泣きたいだけ泣いたらええ

優しい彼女が
言葉にすること無く
背負ってる色んな重いモノは

涙にして流してまえ

・

ドラマでは天才外科医が
何でも治していく

現実は

目の前の愛する人を
助ける事も出来ない俺

リンクさせて悲しくなるのは
俺も同じやで

TEL彦、お前はええよな

天才外科医が側におる

自分も医者やから
嫁のこと最大限助けられるやん

俺は…
何で治してあげられへんのやろ

こんなに愛してるのに

彼女の涙を受け止めながら
少し泣いた