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「しんどくなかった？」
さっきまでの色気はどこに行ったのか
腕枕をしてくれる
心配性のワンコに戻った
「うん、大丈夫だよ…ｹﾎ」
「咳しとるやん！」
ガバっと上半身を起こし
見下ろす体勢で頬を撫でる彼
「昨日の今日だからね…w
声の出る『運動』したら
多少はしょうがないよ」
「どうしたらええ？
薬持ってこよか？」
慌てる彼の首に手を回す
「照史の元気分けて？
昨日みたいに」
・
意識が無かった間
現実と夢の世界を行き来していた
たまに周りの気配を感じたり
声が聞こえたりしていた
意識がなくなっても
耳は最後まで聞こえてるから
最後まで話しかけてあげてください！って
よくドラマで見かけるけど
あながち嘘じゃないのかも
その中で聞こえた声
『俺の元気分けたる。早く良くなれ』
照史くんの声だった
体を動かしたり
目を開ける程に覚醒してないから
額に何かが触れる感覚と
優しい優しい彼の声に安心して
また眠りに落ちたんだ
・
驚いた表情で「起きてたん？」と問う彼に
昨日の事を説明すると
「そっか、伝わってたんや
恥ずいけど…嬉しいな」
と照れ笑いをし
ポスンと布団に戻る
向かい合わせになると
額をくっつけて
「俺の元気に分けたる。はよ元気になれぇー！」
と言いながら
ぐりぐりと額を擦りつけ
チュッと、キスを落とした
「昨日はAの体も唇も冷たくて…
今日は全部温かくてホッとした」
帰宅直後のキスで
「温かい…よかった」って言ったのは
そういう事なのか
「照史くん、本当にありがと
命の恩人だよ」
「それは大袈裟や
でも…ホンマに助かって良かった」
強く強く抱きしめられる
答えるように背中に手を回す
「お礼がしたいな
命を助けてくれたお礼なんて
何が出来るかわかんないけど」
「そんな重く考えんといて？
俺も、たまたま通っただけやし」
「でも…」
「ほな、俺のお願い1個聞いて？
それでチャラな」
「お願い？」
彼からのお願いは
「俺の車でドライブしよ」
だった
私が彼の車に乗ったのは昨日が初めて
発作で苦しんでる姿
「思い出してまうから…
隣で笑うAとの思い出で
上書きしたい」
遠出が出来ない私と
出掛ける理由を作ってくれてるのかも
優しいな
次はドライブデートやな！と
嬉しそうな声を出す彼がとても愛しかった
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年1月28日 13時
