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髪が濡れたまま出てきた彼は
昨日の私とリンクして
思わず笑ってしまった
今、少し長めの髪の照史くん
濡れてると更に色気が増す
眉を下げたワンコみたいな顔して
隣に座るから
首から下がるタオルで
髪を拭いてあげる
「風邪引いちゃうよ？」
「心配やねんもん」
「大丈夫だから乾かしてきて
じゃないと話さないからね？」
昨日の淳太くんと同じような事を
言ってる自分が面白くて
口元が緩む
拗ねた顔して洗面所に向う照史くんも
昨日の私とリンクする
・
サラサラの髪になった彼は
キッチンで飲み物の用意をして
持ってきてくれた
「ありがと」
「おん」
笑ってるけど
話を聞くのが怖いって
表情から滲み出てる
隣に座った彼の手を撫でると
手のひらを上にして
指を絡めてギュッと握った
それを合図にして
口を開く
「昨日は…酷い発作だったの
今までで、1番酷い発作
手持ちの薬使って
仕事終わるまで我慢してたんだけど
どんどん酷くなって…」
思い出すと恐怖が蘇る
家に帰りたいのに
息が出来なくなってきて
目の前が歪んできて
ついに立っていられなくなった
必死に息を吸おうとしても
まるで首から胸までを
握りつぶされてるかのように痛くて
苦しくて苦しくて
このまま死ぬんじゃないかって
怖くてたまらなかった
誰かが声を掛けてくれたけど
「助けて」って声も出なくて
意識が飛びかけた時
名前を呼ばれた
世界で一番愛しい声で
そこからはあまり覚えていない
「思い出すのしんどいやろ…
無理に話さんでもええで」
震え始めた体を
彼が撫でてくれる
「大丈夫…ちゃんと話す」
そのまま伝えるのは重いから
掻い摘んで伝える
「照史くんの声が聞こえて
顔が見えたとき
本当に安心したの
最後に幸せな幻覚見てるのかな？
って思うくらい…
カッコいいヒーローだった」
そう言うと
「俺が？ヒーロー？w」と
恥ずかしそうに笑った
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年1月28日 13時
