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気が付くと
リビングのライトが落とされ
俺にはブランケットが掛かっていた
いつの間にか寝てもたんか…
同じタイミングで
「終わったぁ…」と彼女が呟き
んーと言いながら伸びをした
パタンとPCを閉じ
こっちを振り向こうとしたのが見えて
何となく目を閉じた
ホンマに…何となく
彼女のシャンプーの匂いが
近づいた
「淳太くーん…終わったよ…」
と小さな小さな声で言うと
俺の頬を指先で撫でながら
聞いたこと無いくらい優しい声色で
言葉を続けた
「迷惑かけて…
不安にさせて…
本当にごめん
心配してくれてありがとう
守ってくれてありがとう
甘やかしてくれてありがとう
…
寝てても綺麗な顔…
本当に王子様なんだ
淳太王子は誰を迎えに行くの？
白雪姫？
シンデレラ？
ﾌﾌﾌ
綺麗な人なんだろうな…
いっぱい幸せになってね
優しくてカッコいい王子様」
…
王子様
王子様って
普段そんな事言わへんやんけ
バカだのオバＱだの言うやんけ
なんやねん
綺麗な人なんだろうなって
なんやねん
…
彼女を怯えさせるくらい
責める事を言ったのに
それが
俺なりにAを守ろうとしての
言葉やって事も
動揺して言い方がキツくなった事も
全部…分かってるんやな
そして
俺にも向けられた
「幸せになってね」の言葉
真っ直ぐ受けると
こんなに胸が痛いんか
軽口叩きあうか
謝ってばかりの彼女からの
沢山のありがとうが
まるで別れの言葉のようで
胸がザワザワする
これ以上寝たフリすんのはしんどくて
小芝居を挟みながら
ゆっくり体を動かし目を開ける
俺を見つめる彼女は
思わず見惚れる程に
優しい笑顔をしていた
「おはよ。仕事終わったよ」
「…寝てもた、スマン」
「疲れてるのに、付き合わせてゴメンね」
「…俺が勝手に待っとっただけや」
「朝まで寝てもいいよ。ベッド使う？」
「お前はどこで寝る気やねんw」
どこまでも優しい彼女の言葉が
なんだか切ない
伸びをしてから立ち上がって
彼女に手を差し出す
「病み上がりの姫を寝かすまでが
共犯者の仕事や」
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年1月28日 13時
