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恐る恐るリビングに戻ってきた
メガネ姿の彼女
ソファに座る俺の隣に座り
「迷惑掛けてごめんなさい」と
消えそうな声で言った
「とりあえず髪乾かせや」
肩にタオル掛けてるけど
ほとんど拭かれていない髪
「だって…淳太くん怒ってる」
「それと髪の毛乾かさへんのは
関係ないやろ
風邪引いたらどないすんねん
さっさと乾かしてこいや」
俺はいつも通りの軽口を
叩いてるつもりやけど
キツくなっとるんかな
しょんぼりしたまま立ち上がり
洗面所に戻っていった
アカンな…俺
自分で思ってる以上に動揺しとる
戻ってきた彼女は
相変わらず肩を落としながら
鞄からパソコンを取り出し
ソファの前に座り
テーブルの上で広げた
「おい…何してんねん
早く寝ろ言うてるやろ」
「今日どうしても仕上げなきゃいけない
仕事があるんだもん
クライアントに送らなきゃ行けないの」
仕事なのはしゃーない
せなあかんのは分かる
俺等も体調わるくたって
薬飲んで仕事なんてザラにある
でもな、お前、昨日倒れてんで？
丸1日、目ぇ覚まさへんかってんで？
分かっとんか？
…言いたいことは山程ある
俺が何か言うより伝わるやろうと
さっき照史から届いたメッセージを見せる
橙A、大丈夫そう?
橙もう寝た?まだ起きてる?
橙仕事するとか言い出したら、早く寝ろって言って
橙出来る事なら明日休めって
橙淳太君、ゴメンやけど、頼んます
心配彼氏からの連投メッセージ
1つ1つを目で追っていた彼女は
既に落ちてる肩を更に落とし
「…もう寝たって返して」と言う
イラッとした俺は
感情のままに言葉にした
「俺に嘘つけ言うんか？！
照史の気持ち考えろや！
こんなに心配しとる人間に
そんなしょーもない嘘ついて何になんねん！」
俺から目を逸らしたままの彼女
「…本当に終わらせなきゃいけないの
あと3時間もあれば終わる
そんなのに照史くんを巻き込めない
早く安心して休んで欲しいの
昨日も寝てないんだろうし…」
若干怯えながら話す彼女
パッと顔を上げ目を合わせると
「終わったらすぐに寝る
明日、午前はリモートにするから
少しはゆっくり出来る
だから…照史くんに…
もう寝たって返事して…ください
お願い…」
溢れんばかりに涙を溜めて
縋るように言った
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年1月28日 13時
