296.あなたSide ページ11
チャペルのドアの前で立ち止まる
隣に立つ照史くんは
ダークグレーのタキシード姿
アイドルスイッチ入れた
仕事モード全開の彼は
直視出来ないくらい格好いい
仕事してる姿を見ると
遠い遠い存在の人に感じてしまい
寂しくなるからあまり見ない事にしてる
それが目の前で
ウエディングドレスを着た私の隣で
仕事とは言え新郎としてタキシード姿
嬉しくて
それ以上に悲しくて
本当にカッコよくて
どうしよう
泣きそう
なかなか目を合わせない私の肩に
手を置いた照史くん
「A？どしたん。こっち見て？」
っていわれても
「…無理」
「なんでやねんw」
「照史くん…
カッコ良すぎて見れない…
見たら…泣いちゃ…う」
最後は涙声になった
カッコ良すぎて
素敵過ぎて
キラキラし過ぎて
私からはあまりにも遠い
アイドルを仕事としてる彼は
本当に素敵
淳太くんも
流星くんも
人を笑顔にして幸せを与えられる
素敵な仕事をしてる
曇らせてはいけない
邪魔してはいけない
足枷になりたくない
わかった上で付き合ったのに
その為の『条件』だったのに
直に感じると…想像以上に胸が痛い
「なぁんで泣くんw
カッコよくて見れないって
そんな事初めて言われた…
めっちゃ嬉しい
でも…こっち見て欲しいな
Aの顔が見たい」
ゆっくり視線を向けると
優しく微笑みながら涙を拭いてくれた
「A…
ホンマに綺麗や
ホンマに…
…
…
アカン…俺が泣く…w」
眉をハの字にして
ボロボロ涙を流しながら
手のひらで口元を押さえる彼
「泣かないで…」
彼の止まらない涙をそっと拭うと
ギュッと抱きしめられた
背中を撫でながら
彼にだけ聞こえるように
耳元で伝える
「大好き…大好きだよ…照史
カッコ良すぎる
泣かないで…私まで泣けて…くる」
「Aも…めっちゃ綺麗
綺麗過ぎてビビるわ
幸せ…過ぎる
…
…
アカン涙止まらんw」
抱きしめあって泣きはらす私達は
まるで本当に今から結婚式を上げる2人みたい
違うのにね
その事実が余計悲しくて
更に涙が止まらない
徐々に周りからも聞こえる泣き声
「なんで俺らみんなで泣いとんww」
照史くんの一言で笑い声に変わった
凄いね
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年1月28日 13時
