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某先輩みたいに
かっこよくいいたいのに
1ミリも余裕がなくて
声が震えた
そんな俺を驚いた表情で見ていたAは
「私がしたら…うれしいの？」
なんて言う
ホンマに自分の事になると
異様に鈍くなるの何なん
「嬉しいに決まってるやん」
「でも、じゅんたくん
そういうのきらいでしょ？」
「……そういうの？」
「彼女じゃないひとと、ちゅーとかするの」
確かに俺は
恋人ではない相手と
一定以上の関わり合いをする人間が苦手
関係性をハッキリしたいってのもあるし
面倒な事に巻き込まれない為の自己防衛でもある
それを分かっているから
頬にキスしても唇には決してしなかったんかな
でもそれは
俺の気持ち次第でいくらでも変わる
だって
今
Aに触れたくてたまらない
「今日は、Aが俺のお姫様なんやろ？」
「………うん」
「ほな、ええやん」
口にしてしまったことで
制御がきかなくなった体と心が疼く
我慢出来ない手が彼女の腕を掴む
我慢出来ない口が
シラフだったら絶対言えないような
小っ恥ずかしい言葉を勝手に紡ぐ
「お前は俺の……
俺だけの……
可愛い可愛いお姫様や
なぁ…はやく」
もはや「おねだり」と化した
俺の言葉を聞いて柔らかく笑うと
カップをテーブルに置いて
隣に隙間なく座りなおす
全身が心臓になったみたいに
バクンバクンと鳴り
体中の血液が熱く感じる
酔っ払ってぽわぽわ笑う彼女と
至近距離で目が合う
なんでこんなに余裕なん
悔しいけど
俺はもう全てがギリギリで
早く触れてほしくて仕方ない
そう
俺からやなくて
彼女からのキスが欲しい
俺の頬を彼女の少し冷たい手が包む
ゆっくりまばたきをしたかと思うと
次に絡んだ視線は
いつもと違う深い甘さを纏っていた
早い鼓動で呼吸が止まりそう
こんな表情…するんやな
初めて見た彼女の「色気」に
俺のリミッターが崩壊しかけて
思わず目を瞑ると
柔らかくて温かいモノが
俺の唇に触れた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2023年2月10日 22時
