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「言うとったで
泣きながら
もっと一緒に居たかったって」
ホンマは一度も聞いてはいない
直接的な「会いたい」は
きっと照史も言うたらアカンと思ってるから
嘘とホントを織り交ぜる
でも
ここで付く嘘は
きっと閻魔も神様も許してくれる
誰も傷つけない
優しい嘘
俺の言葉に少し驚いた表情をした
「じゅんたくんは…どう思う?」
「え?」
「わたしが…
今の、こんなボロボロのわたしが会って…
なにかあきとにとって
プラスになることがあると思う?」
「当たり前やろ」
「もっと傷つけるだけじゃない?」
「違う
お前が居なくなって
照史がどれだけ必死に
探してたと思っとんねん」
ホンマに必死に探していた
一度知らないと言われた店にも
何度も何度も出向いて
見かけたら連絡してくれって
頭を下げている姿を何度も見た
いつの間にか
その姿も見なくなったけど
「………ごめん…なさい」
「謝らんでええねん
でもな、もしお前がええなら
会うたって欲しい」
「……………」
「そんで照史に弁解させたってくれ
お前にぶちまけた事
めっちゃ後悔しとんねん
謝りたいって言うとった
ほんで…笑ってるお前を見せたい」
「あきとはわるくないから
謝らなくていい
むしろ…わたしがあやまらなきゃ」
「ほな、直接言うたらええ」
「でも…会って何話せばいいか…
もうわからないよ…」
「俺でも流星でも、一緒に居ったる」
彼女の瞳が揺れている
不安が少し取り除かれて
会いたいって顔してる
そらそやろ
それでええねん
いつもいつも隠していた
彼女の気持ちが
アルコールのお陰で表に出てきたな
「まだ、照史には何も話してないねん
お前が見つかった事も、何も」
「……」
「流星と相談して、いつ言うかは決める
どこまで話すかも決める」
「病気の話も…する?」
「せんかったら、説明出来ひんやろ」
視線を落とした彼女は
「……これ以上…傷つけるの…やだなぁ」とつぶやく
「もう何も隠さんでええねん
ちゃんと話せばいい
俺たちがいくらでもサポートするやん」
しばらく考えていた彼女が
ポツリと「お願いがある」言った
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作者名:向日葵 | 作成日時:2023年2月10日 22時