向日葵みたいな君3

112.デートの朝 ページ19

瞑った瞼からでもわかる太陽の光
眩しくてゆっくり目を開ける


窓側に体を向けて眠って居た俺の顔面に
カーテンの隙間から差し込む日が当たる


想像とは違う明るさに
状況を理解しようと頭がフル回転する




慌てて体を起こし
窓際の時計に視線を向けると




「10時…？！」




完全に寝坊した




8時半には家を出る予定やったのに
最悪や

今日と明日の夕方まで
丸々休みを取るために
仕事詰め込んで疲れとった上に

中々眠られへんかったから





だからって…
こんな日に寝坊するか？！




ここぞという時にデカいミスをする
俺のしょうもない所が出た

自分に苛ついて
盛大に舌打ちをすると




「わ！舌打ちした！こわ〜い」




反対側から聞こえた声に
慌てて振り向くと


病院で待っているはずのAが
ベッドサイドに立っていた




「お寝坊淳太くん、やっと起きた」
と微笑むその姿は




肩のすぐ下まである茶色くて長い髪




「え…A…なんで…」





まだ完全に覚醒してない頭が
上手く働かなくて

たどたどしい言葉しか出てこない





「9時に来るって言ったのに
　全然来てくれないんだもん！

　待ってられなくて、来ちゃった♪」


「それは…ホンマにスマン」


そう返事をしながらAの横に立つ




「大丈夫。淳太くん、疲れてるんだよ
　いつもお疲れ様」

「それより…これ…どうしたん」



長い髪の先を撫でる
どこかで見たことあるような



「りゅせくんが持ってきてくれたの
　ネズミー行く時、コレ被って
　淳太くんを驚かせ！ってw」

「流星が？」

「小瀧くんが使ってたって」




あ！これカウコンのやつか！




「長い髪、久しぶりだから嬉しい♪」




確かに元気やった頃は
ロングが多かった


いつも綺麗に手入れされていて
風になびくと
1本1本がサラサラと流れるように揺れていた





「懐かしいな」





俺を見上げて楽しそうに笑う顔は
ホンマに昔の彼女みたい

正月明けにあったときより
少し頬がふっくらした




再会したばかりの事は
ひと目で重い病気だとわかるほどに
頬がこけていた




その痛々しさが無くなっている




まるで本当に
『あの頃』のA



涙腺が緩み始めた時
彼女が俺の腕をつつく

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