向日葵みたいな君3

111.黄色Side　ネズミの国と海でのデート ページ18

明日はAとネズミーの日


再会して初めて、２人で出かける。




いや…基本的に飲み友達やから
合うのは夜ばっかりで
昼間に出かけるって皆無やったな




楽しみすぎて
少し不安で
最近ずっとソワソワしとったのに




ここに来て緊張して眠られへんって
どういう事やねん




9時に病院迎えに行って
先生と今日の様子を聞いて

何に乗りたいか、何を見たいか相談して
プレミアアクセスで順番取って
ゆっくりゆっくりパーク内巡って
15時になったらホテルにチェックインして…





頭の中ではスケジュールバッチリ

早く寝ようと0時前にベッドに入ったのに
一睡も出来ないまま外が白み始めた

天井が薄っすら見えてきたで





そもそも俺は、何に緊張してるんや





…………初デートに緊張しとんか？





こんな仕事しとるから
一般の人たちが普通に経験する事が
何も出来なかったりする

恋人とデートもソレ




ええ歳して
遊園地デートなんてホンマに初めてやし

相手がAなんて
そら緊張もするやろ




楽しんでほしい
あのキラキラした笑顔を見せて欲しい


しんどい事を一瞬でも忘れて欲しい


それで少しでも
一緒に居られる時間が延びて欲しい




1日でも

1時間でも

1分でも長く




Aに生きとって欲しい





…





『淳太くん、ネズミー行った？』

『先週行ったで』

『ん』

『なんや、その手』

『お土産は？』

『何でお前に買わなあかんねんw』

『限定グッズ欲しいって言ったじゃん！
　先週末までのマグカップ！』

『おん、言うとったな
　俺の分は買うたで』

『はぁ？！自分の分だけ？！
　私のも買ってきてくれたって良くない？！』

『淳太様、買ってきてくださいって
　言われてへん』

『マジで性格悪い！ケチ変態オバQ！』

『近いねんから自分で行けや！』




…




彼女と再会してから
昔の事ばかり思い出す

あの時の限定グッズ、買ったったら良かったな

ホンマのホンマに
単なる飲み友達やったから
土産買うなんて頭になかった

当時Aが
出張やら土日返上やらで
ネズミーに行く時間なんて
一ミリもなかった事
知っとったのに

1…2………うわ、5年も前なんや

きっとAは
もう覚えてないやろな




ボヤけた視界に彼女の笑顔が浮かぶ




あの頃の些細な日常の一コマ

俺の心にずっと引っかかってるって
再会して初めて気がついた




はよ逢いたいな




ボンヤリと思いながら
ようやく訪れた睡魔によって
ゆっくり目を瞑った

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