06. 黄色side. 思い出した事 ページ7
「麻布のクラブでも会うたことある
美人な女の子と飲んでた」
「クラブ?」
「おん。たまに飲みに行く言うてたで
麻布とか六本木とか…あの辺も
他には…」
流星が落とす情報に
照史はずっと驚いた顔しとる
正直
俺も驚いてる
あいつの事知ってると思ってたけど
遥かに流星のが知っとる
こんな事でもなかったら
流星が話す事も
彼女が話す事もなかっただろう情報
聞かれない事は話さない
さっき流星が言ってた一言で
全てが納得してしまいそう
でも
なんか寂しい
俺、結構Aにしか言ってない事あるで?
口が硬いから
プライベートな相談とかもしたことあるし
仕事の愚痴も聞いてもらった
特別な立ち位置に居るって自負してた
俺にだけは連絡してくるって
高をくくってたけど
アイツは何も言わず居なくなった
なぁA
お前にとって俺は
単なる友達の一人やったん?
お前がしんどい時に
俺にだけ見せてると思っていた姿
今、どっかで誰かに見せてるん…?
その時「あ…」と呟いた照史
緑「どないしたん」
橙「私には出来ないからって…言っとった」
青「いつ?」
橙「春前」
緑「出来ないって…何が」
青ざめた顔で照史が話し始める
今年の年明けから照史が出ていたドラマ
たまたまAの担当医が
演技指導の医師やったって事と
Aの状態を濁されたってのは聞いたけど
その後を聞くのは初めてやった
「家行ったら、泣いててん
電話した時点で既に
めっちゃ酔っ払ってた」
重要人物が死んでしまったと泣いていた
アイツは感情移入しやすいから
容易に想像出来る
落ち着いてから話していると
「羨ましくなった」と
『約束のお揃いの指輪して
照史の赤ちゃんがお腹の中にいて』
元々、結婚願望もないし
子供も興味ないって言ってたけど
照史と過ごす時間で
心境が変わったんかな
「その時に言うてん
『私には出来ないから』って
その後…
『照史、幸せになってね
あの写真みたいに
大好きな人と家族になって
いっぱい笑って
いっぱい楽しい事して
ずっとずっと幸せでいて』
って」
神ちゃんが湿った声で「切なすぎる」とつぶやく
「出来ないって…どういう意味なん」
あの状況では全て無理やったから
そういう意味やと
当時の照史は認識した
参考※太陽のようなあなた8 No.350
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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年9月11日 3時