37.人生掛けて ページ38
どうしたら
この恥ずい時間が終わるんかと
必死に脳みそフル回転させていたら
「そうだ、酸素と点滴いつ取れた？」
話が変わってホッとした
「夕方だよ」
「じゃ、明日から行けるって？」
「うん」
「でも明日から出張なんだよなー」
「えー…どこに？何日？」
「台湾香港1週間」
「長いー」
行けるって何の事やろと
聞こうと思ったタイミングで
面会時間終了のアナウンス
「じゃ、続きはまた明日話すか
飛行機乗る前に寄るわ」
そう言って立ち上がったお兄さんに続き
立ち上がると
「淳太くん」って俺の服の裾を引っ張った
一番近くなるベッドサイドに腰掛けて
「ん？」と返事をしながら頭を撫でる
「また…来てくれる？」
その上目遣いの甘えた声は反則やで
「また来るよ、すぐ来る」
「本当に？」
「おん、ホンマに
あ、スマホ貸して？
メッセージアプリのID入れるから」
「教えて…くれるの？」
「当たり前やんけ
何時でもええから連絡してこい
夜中でも早朝でも
気にせんでええからな」
そう答えると
嬉しそうにフワリと笑う
俺の好きな彼女の笑顔
ずっと見たかった笑顔が見れて
俺の視界はまた歪む
愛しくて抱きしめようと思った
のに
「関西弁のリアル王子様…
愚民に対する対応まで完璧」
真剣に言うお兄さんの言葉に笑ってもうたw
もう一度頭を撫で
「おやすみ」と言って病室を出た
少し寂しそうな表情になったから
明日も絶対来る
空き時間全部来るからって
心の中で勝手に決めた
側に居るからな
大丈夫
寂しくない
今度は俺が支える
お前が俺たちを人生を掛けて守ってくれたように
俺も人生掛けて守るからな
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
