向日葵みたいな君 (ページ36)

今日:3 hit、昨日:105 hit、合計:27,809 hit

35. ページ36

「淳太くん…鳴ってるよ？」

せっかく再会を噛み締めてるのに
ポケットで震えるスマホに邪魔された

切れても直ぐに掛かってくる

何度も何度もしつこい

「出なきゃ駄目だよ
　仕事の連絡かもよ？」

って彼女の言葉で
観念して腕の力をぬく

泣き腫らした彼女の頬に両手を添え
目を合わせる

確かに痩せた

いや、やつれた

それだけ頑張ったんやな…

また溢れる涙を
彼女の細い指がそっと拭う

「電話に、出なさい」

そう言って睨む顔すら
懐かしくて可愛い

渋々スマホを見ると予想通り

彼女に画面を見せる

「流星…くん？」

すっかり忘れとったな
連絡するって言うたんやった

お兄さんから電話が来たときの
一連の話をする

「流星、まだ仕事やから
　休憩時間にでも掛けてきたんやろ」

「そっか…相変わらず忙しいんだね」

そう言うと俺に視線を向けて

「忙しいのに、来てくれてありがとね」

と柔らかく微笑んだ

また泣きそうになって
誤魔化すように隣に座る

「カメラ見て？流星に自慢するから
　笑えよ？」

そう言って
2人が写るように頬を寄せ
インカメラ向けると
今度は恥ずかしそうに笑った

その写真をメッセージアプリに送ると
また鳴り出すスマホ

スピーカーで電話に出ると
「ホンマに姉ちゃんやん！マジで？！」
ってギャーギャー騒いでるw

クスクス笑いながらAが
「りゅせくん、お疲れ様」と声を掛けると
一気に静かになった

「流星？どした？」
「りゅせくん？」

2人で電話口に話しかけていると
鼻を啜る音が

「ホンマに…姉ちゃんや…」と
震える声が聞こえてきた

直後、背後から
『藤井さんお願いします！』の声

「また後で連絡する
　姉ちゃん！絶対会いに行くから！」
と言って電話は切れた

困ったような笑顔を向けて

「泣かせちゃった」と呟く彼女

「嬉しいから泣いてんねんで」

「…私も、会えて嬉しいよ」と見上げた彼女を

もう一度腕の中に閉じ込める

「お兄さんから聞いたで、全部」

「………そっか」

全部聞いたから

もう何も隠さんでええねんで

「もう…どっか行ったらアカンで
　どんだけ…探したと思とんねん」

「……ゴメン」

「会えたから…もうええよ」

話したい事はいくらでもあるのに
なんで言葉にならへんねやろ

溢れるのは涙ばかり

思っているより

頭も心も

パニックなんかな

いい意味で