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慌てて止めると
『残っていてはいけないものだから
ちゃんと私が捨てないと』と
Aが写った写真は全て刻んでしまった
残ったのは
ドレス姿のアルバムと
Aが写っていない写真
そして破れた写真
「これは、棺に入れてほしいと頼まれました
今は捨てられないけれど
絶対に残しては行けないものだからと
不倫でもしていたのかと思ったら
芸能人…しかもアイドルの方だったと聞いて
やっと納得しました」
泣くほどの写真も全部
シュレッダーに掛けた
手元に置かれた
数冊あるポラロイドカメラのアルバムは
確かに所々が抜かれていて
残った写真にAは1つも写っていない
何も変わってない
どこまでも
照史を俺達を守ろうとしてる
心臓が痛くて
涙が止まらない
「こんな事を背負わせてしまって
申し訳なく思っています
でももう時間が無いんです
残りの時間を
1秒でも楽しく過ごしてほしくて
連絡させていただきました」
そう言うとお兄さんは立ち上がり
深々と頭を下げる
「もしご迷惑で無ければ
1度でいい、一目でいいので
妹と会って貰えませんか
アイツが連絡してほしいといったのは
中間さんだけなんです
5分でもいい
なんならメッセージ動画でも
ビデオ通話でもいい
お願いします…
もうこれ以上…僕達には何も出来ないんです」
ポタリポタリと落ちるお兄さんの涙
悲しくて辛くて悔しい気持ちが
真っ直ぐ伝わる
「迷惑なわけないじゃないですか
もちろん会いに行きます」
そう言うと嬉しそうに安心したように笑い
「ありがとうございます」と
再度頭を下げるお兄さん
彼女に会える
想像より悪い彼女の過ごした時間に
心臓痛くてたまらんけど
それよりなにより
彼女に会える事が嬉しかった
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
