向日葵みたいな君 (ページ27)

今日:18 hit、昨日:105 hit、合計:27,824 hit

26.引っ越しページ27

その後
人肌恋しさはペットで解消！と
沙耶から薦められて
犬を買うことにした

昔から飼いたかったフレブル
ツレからブリーダーを紹介してもらって
一目惚れした子に決めた

お勧めのペットシッターと
ペットホテルも教えて貰った

伴ってペットOKのマンションに
引っ越しも決まった

真っ当な理由があるからか
前ほどの抵抗も感じない

それでもやっぱり
引っ越し当日は寂しくて

家具のある状態で全部の部屋を撮る

全て運び出した後

1人で部屋に戻り

部屋の真ん中で目を瞑り

彼女の名前を呼んだ

　

「…A」

何もない部屋に俺の声だけが響くと

聞こえるはずのない返事が
聞こえた気がした

なんどとなく聞いていた
何気ない彼女の明るい返事が

その瞬間
足の力が抜け

床に崩れ落ち

彼女の名前を呼びながら泣いた

泣いて泣いて
日が暮れるまで泣いて

あまりに遅いからと
押されたインターホンで我に返った

床の涙を拭いて

もう一度すべての部屋を
ぐるりと回って

「ありがとう」

と言って玄関を閉じた

この部屋を手放しても
思い出が消えるわけちゃう

それでも流れる涙を雑に拭いて
振り向く事なくエレベーターへ向かった

・

A

新しい部屋は前より星空がよぉ見えるで

いつか一緒に
見ることが出来るんかな

元気でおってや

幸せでおってや

沙耶が言ってたとおり

いつか会えたら
幸せやって胸張って言えるように

少しずつでもええから
俺のペースで前を向こう

頑張れ、俺