24.ふざけんな ページ25
『今から行くから』
帰り道、沙耶からメッセージが来た
あの話やろな
特に返事をしないまま家に着く
5分後にチャイム
見張っとんかアイツ
部屋に来た紗耶は
リビングドアの前で仁王立ちのまま
流星と同じ怒りのオーラを纏っている
「聞いたでしょ？
マジでいい加減にしなよ」
「もう流星から散々怒鳴られてん
飲みすぎたらアカンな」
「…そんな軽い話じゃない！」
分かってんねんけど
昼間ので俺は疲れてしまった
一瞬で崖っぷちに立たされ
直後に助けられたような
感情が乱高下して疲れた
「あんな馬鹿女と寝た理由は何？！
どうせ寂しかったとか言うんでしょ？！」
「…そんな所やな」
そうだね寂しいねって
愚痴聞いて優しくされたから
そのまま流されたくなったんやろな
あの時の俺は
「優しくしてくれたら誰でもいいの？！」
「そういうワケちゃうけど…」
「つーか、顔も名前も覚えてないって
どういう事？！」
来る側から一方的に怒鳴られて
さすがにイラッとする
「酔っ払っててんからしゃーないやんけ！
まさか仕込まれてるとは思わんかったし
無用心やったんは認めるし
確かに俺が全面的に悪いけど
酒の勢いで一晩なんて
お前やって一度くらいあるやろ？！」
最悪の状況になりかけた
俺のメンバーの人生
ひっくり返す可能性もあったから
思い出しても背筋が凍るけど
昼間も責められた事を掘り返されて
少し鬱陶しく感じた
キツくなった俺の言葉に
沙耶の表情がキツくなる
「……ふざっっっけんな」
そう言うと
おもむろに服を脱ぎ始めた
「おい…沙耶…？」
涙をポタポタと落としながら
一枚ずつ脱いでいく
背中のホックに手を伸ばした所で
慌てて駆け寄る
「おまっ！何してんねん！」
脱ぎ捨てられたカーディガンを
前から掛ける
パッと顔を上げると
涙を流しながら
外した下着を俺に見えるように投げ捨てた
「寂しくて誰かと寝たいだけでしょ？！
誰だっていいんでしょ？！
じゃあ私でいいじゃん！」
「なんでそんな話になんねん！」
「どっかの知らん女と
酒の勢いで寝て人生狂わされるとか
あり得ないんだよ！」
返す言葉はない
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
