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「別れ話しに来たんは分かっててん
いつか来るやろうと思ってた
でも…今は…ちゃうやん」
そう切り出して
当日の様子を話し始める
彼女が写真について初めて触れた事
なんとか別れを回避したくて
責めてしまった事
震える声
パチンと涙が床に落ちる音がした
「俺の為に黙ってるって知っとる
優しさだって分かっとる
せやけど…
そんなに頼りないんかって
そんなに信用出来ひんのかって
どっかで感じてたモヤモヤを
全部口にしてもた」
照史の気持ちはよく分かる
俺や流星には話してるのに
自分だけ秘密にされる辛さ
俺はアイツに何度も言うた
倒れた所を見られてしもたんやから
話せる事はちゃんと話せと
隠されてるのもしんどいから
「それでもAは
別れるって言い続けとって
イライラして……」
その時、
彼女の指輪が足元に転がって来た
自分の指にも嵌るお揃いのソレを見て
物凄く悲しくなって
突発的に捨て
写真も破いた
勢いそのまま
今までの不満を
何もかもぶちまけてしまった
泣きながら話す照史の背中を
神ちゃんが撫でる
「どうせ別れるんやったら
気持ちが残らんようにしたい
酷いこと言われたって思えば
俺もAも
諦めがつくかと思った
でも」
青ざめた顔して膝を付き
破れた写真を胸に抱きしめる姿を見て
一気に自分がした事の重さに気付いた
「めっちゃ調子悪そうやってん
何も見えてないみたいやったし
立ち上がる事も出来てへんかった」
心配で声を掛けたけど
それに答えることなく
彼女は一粒涙を落とし
『たくさん傷つけて…ごめんなさい』
『人生で一番幸せな時間だった
本当にありがとう』
この言葉を残して
フラつきながら照史の家を出た
「酷いことした上に
何も出来ひん俺が
追いかけてええわけない
それに…
まさか居なくなるなんて
思わへんかったから」
お互いの優しさが
お互いを傷付ける
特にAは
照史の側におったらアカンって
ずっと言っとったから
あえて何も話さんかったんやろな
気持ちの整理がつかなくて
最初に連絡したのは翌日の早朝
「もう一度話そう思て電話掛けてん」
その電話に出ることはなく
送ったメッセージも既読は付かない
居ても立ってもいられなくて
家まで行くと
ドアノブに空室特有の紙が掛かってた
管理人さんに聞くと
1週間前に引き払ったと言われた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
