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「その言葉のままやん
照史は出来る限りの事をした
Aはそれをちゃんと受け取った
もう自分を責めんな
きっとどっかで元気にしとる
退院したってSNSで報告したれ
必ず見とる」
窓に顔を向けたまま小さく鼻をすすると
肩を震わせて
「淳太君…サンキュ」
と言った
さみしげな背中を
軽くポンポンと叩いていると
廊下がガヤガヤと賑やかになる
「お、みんな来たな」
メンバーがお見舞いに来た
ドア開けんでも分かる騒がしさ
ぱっと振り向いた照史は
手のひらで雑に涙を拭くと
「アイツら、うるっさいなぁw
俺、寝たふりするから淳太君ヨロシクw」
と言って
俺に背を向けて布団に頭まで潜り込んだ
分かってる
時間稼いだる
メンバーの前に居るときの
いつもの照史スイッチ入れる為に
ちゃんと頭と心を整理してから
いつもの照史として戻ってこい
ドアの前でスッと静かになったかと思うと
コンコンって静かにノック音
ドアまで歩いていって
そっと開けると
待ちきれないしげとのんちゃんが
隙間から覗き込む
「今、寝とるから静かにせぇよ」
そう言って室内へ
椅子に座るやつ
ベッドに腰掛けるやつ
立ったままのやつ
それぞれの性格がでる位置に行き
『まだ熱は高いけど元気そう』と説明すると
全員がホッとした表情になった
途端に関係ない話をし始める
最初は小さかった声も
次第に普通に戻っていって
そのうち「今起きました」って顔した照史も加わって
いつもの楽屋みたいな時間を過ごした
その様子を動画で撮って
Aとのトークルームに
1言のメッセージと共に送る
「すぐに退院出来るから心配すな
大丈夫
照史は笑っとる」
この写真とメッセージに
既読が付くことは永遠にない
それでも
伝えたいって思いが消化出来なくて
定期的にここに残している
もしかしたら
アイツが居なくなった事実は
俺のがダメージ受けとるかもしらん
リビングに置いてある
俺に模した、あのぬいぐるみに
「たまには返事せぇやボケ」
なんて悪態をつく
寝支度を終えてから
パジャマのポケットに
それを突っ込んで寝室へ
今日は一緒に寝よな
寂しい、怖いと
1人で震えて泣いてませんように
体調も戻って、笑っていますように
どこかで幸せに過ごしていますように
そんな願いを込める
何も出来ひんかったのは俺
守ったるって言うたのに
何も出来ひんかった
後悔と贖罪の気持ちを込めて
「大丈夫、俺がおるからな
寂しくないからな」と
胸に強く抱きしめて眠った
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
