15.黄色Side お見舞い ページ16
ノックして入った俺に気付かず
窓際に立って
ぼーっと空を見上げながら
静かに涙を流す照史
似合わない水色の病院着を着た
その背中や腕は
いつの間にか細く薄くなっていて
年中日焼けしていた小麦色？焦げ茶？の肌も
今は普通の肌色に戻っている
メンバーも
ツレ周りも
アイツを忘れようと
必死に笑ってる照史を支えてきた
飲みに連れ出したり
それぞれのアクティビティに連れ出したり
それが功を奏したのかなんなのか
思いの外持ち直して
表面上はいつもの照史に戻ったように見えた
でも
深い所に沈んでいる悲しみが
滲み出てきている
払拭するかのように
我武者羅に働いて働いて
そんな無理が祟って入院
しんどいのは分かるけど
ちょっとは休めや
無理すんなって流星も言うたやん
自分を責めてばかりおらんと
ちゃんと思い出せ
Aと過ごした日々を
Aと話した事を
Aから伝えられた言葉を
「まだ熱下ってへんやろ？寝ときぃや」
そう言いながら
ベッドサイドの椅子に座ると
「たまには動かんと背中痛いやん」
と笑って指先で涙を拭きながら
ベッドへ潜り込む
「熱ってしんどいなぁー！
こないしんどかったか？
久しぶり過ぎて体力落ちまくっとる」
「カウントダウン…行けるか？」
「んーちょぉっと…無理やから休むわー
残念やなぁ〜
めっちゃ行きたいけどなぁ〜」
「サボりってパネル置いとくわ」
「はぁ？！
見ぃやこの点滴！
俺、入院中！」
「点滴？
澄んだラーメンの汁を
血液に入れとんやろ？」
「おい！
遥か昔のスンドゥブ掘り返すな！
ハハハハハwww
おもんなwwww」
心配掛けるのが苦手で
いつも笑ってるのは昔から変わらない
さすがに元気はないけど
「ニュースになっとったな
親から連絡来たわ
すっ飛んで来そうな勢いやったから
大丈夫や！って必死に止めたw」
「�陲舛磴鶲瞥茲�？」
「せやな
要らん事ばっかりニュースになるw」
「『照史大丈夫』ってトレンドにもあったで」
「はぁー凄いなぁ
テレビもスマホも見てへんから
世の中から取り残されとるわぁ」
いつものテンションで話始めた照史
ブレーキを掛けるつもりで
敢えてこの名前を出す
「心配しとるやろな…A」
久しぶりに触れた話題に
照史が一瞬戸惑ったのが見えた
・
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年9月11日 3時
