310.現実 19:30更新 ページ33
収録が終わり
次の予定までの間
車を飛ばして
彼女が眠る丘の上へ向かう
しんどい時は
いつもここに来る
小走りで階段を駆け上がり
買ってきた小さな向日葵を手に
墓石の前に立つと
誰かお参りに来たのか
綺麗な花が供えられていた
「A、来たで」
声を掛けながら
花立てに持ってきた花を追加する
ここに来ると
何も言えなくなる
メンバーのバカ話とか
会えなくて寂しいって愚痴とか
あれもこれも伝えようって思ってるのに
アイツの笑顔と泣き顔で
頭も心もごちゃごちゃになって
ようやく出てくるのは
「会いたい」の一言と涙だけ
なぁA
会いたいな
どれだけ時間が経っても
寂しくて苦しくて
耐えられへんねんけど
心に穴が開くって
こういう事なんやな
彼女の為に立てられたこのお墓には
彼女1人しか入っていない
…
『もう1人はやだよ』
…
笑顔も沢山見てきたはずなのに
そう言って泣いていた事ばかりが
頭に過って心が痛い
１人分のスペースを開け
ベンチに腰をおろし
あのぬいぐるみを鞄から取り出す
『淳太くんを守ってね』
俺に模してあるけれど
俺にとってはAの分身みたいな感覚
そっと撫でてから
顔が出るように胸ポケットに入れた
会いたくてここに来るのに
いつも余計寂しくなる
…
『私はこのベンチで
のんびり桜と街を見てるよ』
…
開けたスペースに居ってほしい
俺の肩に甘えて欲しい
背もたれに体重を預け
そんな事を考えながら
時間を忘れて
ボーッと空を見上げていると
ゆっくりと夜の帳が降りてくる
暗くなると
ここからは夜景がよく見える
『淳太くん見て！夜景が綺麗だよ！』
そんな声が隣から聞こえた気がして
「ホンマやな」と小さく返す
俺は何度も見てるこの夜景
その度に声が聞こえる気がするのに
お前は居ない
胸がギュッと締め付けられた
その時
タイムリミットのアラームが
ポケットの中で鳴る
俺を現実へ引き戻す音に
盛大にため息をつく
「また来るわ」と墓石を撫で
ダンスレッスンへ向かった
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向日葵(プロフ) - むつみさん» 嬉しいコメントありがとうございます！まだ少しだけ続きを書いているので、もしよかったらそちらもどうぞ✨本編に続いて涙活話が多いので、読む場所にはお気をつけて…私は電車で下書きしてて泣きそうになりました笑 (10月5日 18時) (
レス) id: b832f9ec57 (このIDを非表示/違反報告)
むつみ(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。涙が日々止まらず、本当に胸が締め付けられる思いで読んでいました。作者様とこのお話に出会えて大切な彼らを見守って応援していこうと強く思えました。長文、私事で失礼しました。今後も作品楽しみにしています！お疲れ様でした！ (10月5日 4時) (レス) @page48 id: 8b2354446d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - noonさん» コメントありがとうございます！一緒に涙活出来て嬉しいです！しばらく続きというか、サブエピというか、そんな感じのをポツポツと別章で公開しますので、またお時間ある時にどうぞ😊 (8月12日 20時) (レス) @page41 id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
noon(プロフ) - 嗚咽が出るほど泣きました。主さんの文才に拍手！！！お疲れ様です！！！！これからも作品楽しみにしてます！！！！！ (8月12日 12時) (レス) @page48 id: be78f40dc7 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 楓さん» 大切な日に読んでくださり、ありがとうございます🙇♀また小話を投下いたしますので、お暇つぶしにいらしてください♪ (8月8日 21時) (レス) id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2023年7月19日 20時
