向日葵みたいな君7

277.橙side ページ6

すぐに既読がついたのに
なかなか返信が来ない





Aが会いたくないって言ったのかも

それを淳太君が説得しとるんかも





不安がどんどん心に積もっていく





…





大阪の仕事ついでに
今夜は実家に戻ってきた


両親と酒も飲んで、喋って


疲れたから
もう寝ようと思っていた



ほとんど物置きになった
実家の俺の部屋

子供の頃から使ってる
二分割した二段ベッドで
アルコールと疲れと睡魔に負けそうになった時



届いた画像とメッセージに
飛び起きた





ビジネススマイルとは全く違う
緩く笑う淳太君の隣で

薄いニット帽みたいな帽子を被り
微笑む彼女


淳太君の服を掴む彼女の手が

それを分かって少し不自然な位置に置かれた淳太君の手が





やっぱり羨ましい





『異性の親友とか幼馴染ってのが1番厄介』





流星の言うことは
確かにそうやねんけど

またちょっと違うような気もする





それはきっと
俺と淳太君の関係が
単なる『友達』とも『仕事仲間』とも違う
もっと近しい関係やからやろうな





何にせよ

羨ましいねん





恋人やった頃は嫉妬やったけど

今は純粋な羨望





『恋愛要素としての甘く深い感情を
　俺に向けた事は一度も、一瞬もない

　それを真っ直ぐ向けられてた癖に
　何が羨ましいねん』





ぐうの音も出ない

でも

羨ましいもんは羨ましい





…





そんな事を考えていると
ピコンとスマホが震える

慌てて飛びつくと
そこには30秒程の短い動画





Aと淳太君がうつるソレ

真ん中の三角をタップするのを
5回躊躇して
6回目で押した





…

278.→←276.黄色side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す