向日葵みたいな君7

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「俺が戻ってこなかったら
　何も言わないつもりやったんか」





先生からもお兄さんからも
そんなに悪いとは聞いてない

たまたま忘れ物したから
この話聞けたけど

戻らなかったら…





「明日かもなんて……言えるわけないじゃん」

「お前が1人でしんどい思いしてる方が
　嫌や言うてるやろ！」

「もう……いいの
　しんどくないよ」

「泣いとったやんけ」

「1人で泣くのくらい許してよw
　他は全部
　受け入れてるんだからさ」





俺の背中に腕を回して
首元に頬を擦り寄せる





「色々背負わせちゃってゴメンね

　淳太くんがくれた幸せ
　何にも返せなくてゴメンね」

「………」

「これで春まで生きてたら
　ちょっと恥ずかしいけど…ﾌﾌﾌ

　直接伝えたかったから」





俺から離れて
涙を拭いてから
俺を見上げて笑う





「本当にありがとう、淳太くん」





その向日葵みたいな笑顔に

涙が溢れて





頬を包んで
彼女の唇にキスを落とす






ネズミの国以降、初めてのキス





ゆっくり離れて

もう一度触れる





「俺は……言わへんからな」

「王子様からちゅーされた…へへへ」

「明日なんて考えたくもない」





絶対嫌や

何をどう考えても嫌や





「淳太くんがこうしてキスしてくれるのも
　大切そうに触れてくれるのも
　本当に嬉しかった…今も嬉しい

　残りの人生で
　そんな風に思って貰えるなんて
　思わなかったから」





たまらない言葉に
もう一度、唇を寄せ

額をひっつける





「お前の事、どれだけ大切やと思っとんねん」

「ﾌﾌﾌ」

「桜、一緒に見に行くからな、絶対
　ネズミの国も」

「行きたいなぁ」

「行くねん
　約束やからな」

「んふふ」






笑って誤魔化す彼女に
今日は帰りたくないから泊まると言うと



「明日早いって知ってるけど！」と制し





「いつも通り過ごして」と笑う





今夜とか明日は多分無い
でも、そのくらいの気持ちで居て欲しい

流星には話してもいいけど
照史には言わないでほしい





そう微笑む彼女に
もう一度キスをして

強く抱きしめてから部屋を出た





『淳太、ちゃんと覚悟せぇ
　姉ちゃんの病気と向き合え』

『覚悟するって、諦める事ちゃうで
　ちゃんと理解して、一緒に戦う事や』





いまだにちゃんと向き合えてない
自分が情けない





エントランスから出ると
雪が降っているのに月が輝いていた


キラキラ光る雪を見ながら


早く春になれと
月に祈った

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