secret girl ＜SM entertainment＞

＃４３　カイ　 ページ43

「構え」

「やだ」

「何で」

「私忙しい」

「わかってる。構え」


クマはなんだか寂しがり屋の様。
忙しいくせにひょこひょこ作業室に顔を出しては抱きしめてくる。

その甘くない洗剤だけの匂いも、嫌いだからと空けないピアスも、
面白いよと進めてくる日本の小説も、そうやって控えめにまわす腕も
私は全部が好き。


「お願い。構って」


ベッドの上で寝転んでいたはずなのに、気が付けば私お気に入りの黒い毛布を
被ってこちらを睨んでいる。

あぁ、この人は両親に愛されて生きてきたんだな〜、と不覚にも感じる。
だってあんなに非行と縁のなさそうなガン飛ばされたの初めてなんだもん。


「本当に忙しいの」

「む〜〜〜」


すると拗ねたのか布団饅頭になって転がり続ける。


「しょうがないなぁ・・」

「やった！」


すぐさま飛び起きると満面の笑みをこちらに向ける。

すとん、と自分の足の間に私を閉じ込めると肩に顎を乗せてくる。


「新しい曲？」

「うん」

「男？」

「女」


ジョンイナが気にしてるのはこの曲を歌うのが男か女か。
そんな小さい事に気を揉むクマが私は結構気に入ってる。


「これ、文字変換間違ってるよ」

「わ、ほんとだ」

「おっちょこちょいめ」

「うっさい」


内心慌てて変換しなおす。

するとジョンイナは私の肩に顔を埋めた。
すんすんと匂いを嗅ぐ姿はクマじゃなくて犬。
(シェパードっぽいやつ)


「俺にもAと同じ香水買って」

「何で」

「Aがいっつも側に居るって感じられるから」


可愛い奴め。
年上だけど、確実にジョンイナは女子より可愛い。


「大人しくしてたらね」

「大人しくしてる」


何でだろう。こんなにもジョンイナが好き。

理由、理由は何・・？



そうだ、ハンソルに似てるからだ。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

ハンソル君の誕生日がカイ君と一緒なのは偶然とかじゃないですよ。

＃４４　練習生 side Kai→←＃４２　I　side Tea-Yeon

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す