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Another story 【蘭】 ページ48

フラフラと見知った街を歩きながら家路を目指す。

黒と金で染めた長い三つ編み。
年齢の割に高い身長と威圧感。

「…あれ、あれがほら、噂の」
「あっち行こ、目を合わせたらダメよ」

この六本木を仕切る兄弟の片割れ。
俺が歩けば自然と前を開ける連中も多い。




『…っと!すいません!!』

開けた道にフラっと出てきた女が視界を遮った。
くりっとした目に薄い唇、綺麗な黒髪…可愛い。

「ちょっとA、どこ見て…え、灰谷兄弟?」
「…兄弟に見える?」 俺1人なんだけど。

「あっ、いえ!すいません、この子ボーとしてて!!」
「…」

『すいませんでした、では』
「…ちょっと、待って」
『はい?』
「名前は?」
『は?』
「ちょっと、早く答えなさいよ、でないと…」

『なんで初対面なのにそんなこと言わなきゃなんないの?』

「…」
「(終わった)」

「ふ、そういう返しは久々だわ」
「ごめんなさいごめんなさい、この子Aです、東雲A」
『ちょっと!個人情報!!』

新鮮な反応で尚良い。
噂を知らずともこの見た目ってだけで引く奴の方が多いというのにこの子は自然と接してくれる。


「ね、これから時間ある?」
もう1人の女にそう話しかけると、
「え!わ、私ですか?!」
「そーだよ、Aちゃんもおしゃべりくらいならいいでしょ?」
『この人ユメ先輩の知り合いですか?』
「んー、ちょっと違うけど!行こ!ほら、」
『え!!なんで?!』

こういう時は誘いやすい方に声かけてついて来させるに限る。


「こんなチャンス滅多にないよ!(小声)」
『この人誰なの、どのへんがチャンスなの』
「いーの!」


こそこそ話してっけど、こっちには全部聞こえてんだが。


[灰谷家]

渋々ついてきたAちゃんはこの女が心配なのか
帰りたいオーラを出しながらもウチに上がった。

(ここまでくればこっちのモンだ)


と、思ってたのに。

先輩とやらを酔わせてる隙に

俺も酒に酔ってたせいか、さっさとAちゃんのシャツに手を伸ばす。そして抵抗する力に反発するようにこちらも力を入れた拍子に引きちぎれ飛んでいくボタン。

やべ、と思ったのも束の間。

平手打ちされ世界が揺れた。と思って向き直る前に
今度は腹部に衝撃。

「いっ…たぁぁ」 ちょうどみぞおちにヒット、泣きたい。



腹を抑えてる隙に逃げる猫の背中を見つめることしかできない。


「…ますます興味あンだけど、あの猫」

Another story 【蘭】→←あとがきと続編𖤥𖥧𖥣⋆*



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NA - 面白かったです!!!! (2022年12月18日 21時) (レス) @page47 id: 9c547ad202 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トム | 作成日時:2022年6月19日 22時

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