鹿楓堂よついろ日和 ３

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『お母さん…っ！』


「A、っ」





さっきの言葉が、どうか嘘であって欲しい。



そう願いながら病院に着くと、暗い廊下の椅子に母と父が座っていて。





手術中の赤いランプはテレビでしか見たことがなくて、これが現実だなんてまだ信じられなかった。







丁度その時、手術室の扉が開いてお医者さんが出て来る。






父「あの、真希は！？無事なんでしょうか…！？」


医者「一命は取り留めました。ただ…」





その後の言葉を、言いずらそうに吃る。





医者「視力が失われるかもしれません」








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姉は、私を探している途中にトラックと衝突したらしい。




私が聞いたサイレンの音は、恐らく姉が乗っていた救急車。








命に別状は無かったものの、頭の当たりどころが悪く神経の骨折により失明。




医者からそう説明された時は、私も両親も涙が止まらなかった。









どうしよう。




全部、私のせいだ。






あの時喧嘩をしなければ、お姉ちゃんはこんな目に合わなかったのに。




大嫌いと言ったあの時の泣きそうな顔が、頭に焼き付いて離れない。







早く電話に出ていたら。



私がくだらない意地なんて張ってたから。






そんな、タラレバばかりが頭をぐるぐると回る。






ごめんなさい。



さっきまでそう謝ろうと思っていたのに、そんな安い言葉で許してもらえる訳が無い。





お姉ちゃんだって、もう私の顔なんて見たくないに決まってる。








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そうだ、だったらいっそ。




嫌われるくらいなら。







＿＿＿＿＿もう会わなければいいんだ。





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