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『よし、私そろそろ表の看板取ってくるね』
スイ「うん、宜しく!」
今日も沢山のお客さんが来てくれて、そろそろ営業が終わる時間。
表にある鹿楓堂の看板を取りに外に出た。
久々の外の空気に、思わず両手を上げてぐいーっと背伸びをする。
すると、どこからか走ってくる足音が聞こえて
「…っ、もう店仕舞いですか!?」
振り向くと、スーツを着た男性。
仕事終わりのサラリーマンのようだ。
『まだ、大丈夫ですよ』
「よっしゃあ!一人で!」
『ふふっ、はい』
飛び跳ねるほど喜ぶなんて、子供みたいだなと思って思わず笑ってしまい
慌てて口を抑えるとそんな私に気付いたのか、その人は恥ずかしそうに謝るのだった。
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「うわぁ、すげぇ〜」
『あの、お客様っ』
私より先に前を走って店内に入ってくその男性。
ほんとに、小学生の子供みたい。
『あ、一名のご案内です』
スイ「いらっしゃいませ」
着物だと走りずらいのに、もう。
『では、ごゆっくり』
「じゃあ、天丼一つお願いします!」
…え、いま天丼て言った?
『お客様申し訳ありませんが、当店で天丼は扱っていないんです…』
「え、ここ和食屋じゃないんですか?着物だし古民家だし…」
そこまで言うと、男性は力尽きたかのようにテーブルに項垂れてしまった。
だから、さっきあんなにはしゃいでたのか。
『お客様、大丈夫ですか…?』
そして“俺の天丼”とブツブツ呟き始める。
その光景にどこ既視感を覚える。
てか私、これどっかで見たな。
ときくん「…はっ!」
『え、何っ!?』
ときくん「…これはまるで、今朝の私の姿じゃないですか!?」
『あ、それだ』
向きといい角度といい、朝のときくんと同じ状態。
スイ「きっと今日一日、天丼への想いを募らせて来たんだろう」
椿「口いっぱいに天丼を頬張る姿を夢見て」
ぐれ「その想いが今潰えようとしている」
ときたか「それはならぬ!」
なんか時代劇風に話し出したけど、え何この茶番。
皆まだお客さんいるの忘れてない?
ときたか「お客様、天丼お一つですね」
「え、でもメニューに無いんじゃ」
ときたか「私にお任せ下さい」
そしてときくんは、逞しい背中を向けキッチンに入って行った。
『大丈夫かな』
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しゃち(プロフ) - みたらしさん» 初めまして!コメントありがとうございます(*^^*)ドラマすごく良かったですよね〜最終回迎えてロス気味です、、応援ありがとうございます!!これからも楽しんできて頂けると嬉しいです(≧▽≦) (2022年4月8日 15時) (レス) id: 94abb641fa (このIDを非表示/違反報告)
みたらし - 私もドラマを見てハマりました!更新頑張って下さい! (2022年4月7日 9時) (レス) id: 122f030fb9 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(ゆのん)(プロフ) - こんばんは。しゃちさんからの友達申請ありがとうございます!申請許可したので、仲良く出来たら嬉しいです!よろしくお願いします! (2022年2月11日 17時) (携帯から) (レス) id: 7d58386e1a (このIDを非表示/違反報告)
しゃち(プロフ) - 雪音(ゆのん)さん» そうなんですね、ありがとうございます!申請してみます! (2022年2月10日 18時) (レス) id: 3c2bff670d (このIDを非表示/違反報告)
雪音(ゆのん)(プロフ) - 私の方からもう一度メッセージを送ってみるので通知が来たら申請の許可をお願いします。 (2022年2月10日 18時) (携帯から) (レス) id: 7d58386e1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃち | 作成日時:2022年2月1日 0時