鹿楓堂よついろ日和

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スイ「お待たせしました。天神屋の抹茶とシフォンケーキでございます」




スイは緊張しているのか、顔が強ばっている。





椿「A怖い顔してる」


『私まで緊張するよ…』




でもお孫さんも美味しそうに食べてくれてるし、





大丈夫。


彼のお茶ならきっと。








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「眼鏡の旦那」


スイ「はい…」




全部完食した後で、天神さんがスイを呼んだ。




「あんたのお茶は、やっぱり京之介さんとは違うな」




…えっ、。



あんなに美味しいのに、何で。




「京之介さんのより苦さが柔らかくて、どんどん飲みたくなる。飲みやすいというか…

味は違うが、丁寧な仕事をしているのは京之介さんと同じだ」





そう言えば、お店に来る小さい子供もよく平気で飲んでるのを見かける。



私は子供の頃、抹茶なんて苦くて飲めなかったのに…。




正直お茶の味の違いは分からないけど、おかわりしたいって思えるのはわかる気がするな。







「昔、茶屋を継ぐか悩んでいた私の背中を京之介さんの茶がそっと背中を押してくれた。

その茶と同じ温もりが、お前さんの茶にはある」




淹れる人によって味が変わるように、やっぱりスイのお茶には優しさがあるんだ。




「パティシエはどいつだ？」


椿「は、はい…」


「何でワシの大事なお茶を粉々にして使ったんだ！」


椿「香りが良かったので、抹茶よりシフォンに合うと思って…」




ひぇ、怒ってらっしゃる…！？




「もう少し量を減らした方がいい。その方が子供が食べやすいだろ」


椿「…えっ、」


「いい店だな。悔しいが、お前らの勝ちだよ」





怖い顔して言うもんだから、てっきり怒ってるのかと思ったのに




『今、勝ちって言った…？』


ときたか「はい、言いました」


『ふふ、天神さんてもしかしてツンデレ？』


ときたか「怒ったり優しい顔したり、忙しい方ですね」




ときくんを見ると隣で笑っていて。



反対を見ると、ぐれも嬉しそうにグーサインを向けた。




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