キミと出会って。《ＡＮ》

・・４２＜12.12up＞ ページ43

「相葉さんちに行ってみたい。」


年を越してから半月くらい経った頃。
突然ニノが言った。

暑さにはそんな、堪えたような雰囲気を見せなかったニノだけど、冬が深まるにつれて、「寒い。」と、ベッドに潜ってることが多くなった。


…潜る理由は、寒さばかりではないと思うけど。


「ね、ダメ？」


首をかしげて俺を見つめる目。
本人自覚ないかもしれないけど、そんな目で見つめられて、俺は、どきまぎ。


「…いいけど…。
おまえ、大丈夫なの？
最近ヘロヘロのくせしてよー。」


軽口で聞くけど、ニノは秋からこっち、目に見えて体調が悪そうだ。
顔色はまっしろで、少しのことで息切れしてる。
毎日登校してはいるものの、それも結構、辛そうで。

心配…たぶん、俺の心配は特に嫌がるニノだから、普段はあんまり口にしないけど。

俺の家に行くとなると、徒歩圏内のニノの家とは違い、電車に乗る必要がでてくる。
だから、ニノの体調が気になるわけで。


「…たぶん？」

「たぶん？じゃねぇよ。
年末年始、撃沈してたくせに…。」


ぽふ、と頭をなでると、ぺし！と叩かれた。
見える唇が、とがってる。


「絶対、体調の変化があれば自己申告しろよ。」

「んえ？」

「絶対、俺の言うこと聞くこと。」

「…。」

「ウチはいつでもいいから、平日だろうと休みの日だろうと、ニノが元気な日じゃなきゃ、連れてかない。」

「！ うん！」

「わかった？」


びし、と鼻に指がくっつくくらいにニノを指して。
おでこがくっつくくらい顔を近づける。


「相葉さん、近…。」

「わかったの？」


念を押して聞くと、両手で俺のほっぺたをつぶしたニノはすごい嬉しそうに返事をした。



そうして決まった、ニノの相葉家訪問。

それでも、いますぐ、とはいかないニノの様子だけど。
「はやく行きたいなぁ。」って言うニノは目的があるからか、体調が少し安定して。

日中に保健室内を動き回る姿も出てきたこともあり。


「相葉さん！俺、調子いい。
あした、どう？
あした、いい？」

「ひゃひゃ。ニノ、確かに調子良さそう。
いいよ、あした、家まで迎えに行くよ。」


って。

行きたいと言われて、2週間弱。
約束の日を決めた。

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