キミに出会って。《ＡＮ》

・・１８ ページ19

固定されてたリハビリも終えたし、日常生活には支障がなくなってたものの、
以前の俺が印象にあるせいか、相葉さんも翔さんも、体調を気にかけてくれて。


「久しぶりの学校で疲れたでしょ？」


と、帰宅を促された。
とはいえ、ボディガード付き状態。


「俺もうふつーに元気だよ？」

「いーの。俺がしたいんだから！」


送るどころか、カバンまで持ってくれちゃって…。
ルンルンと鼻歌交じりに相葉さんが前を行く。

翔さんは「馬に蹴られるから。」と、謎の一言を残して大学へ戻って行った。
本当に、忙しい合間を縫って駆けつけてくれたみたい。



前を歩く、少し茶色がかった髪の毛が揺れて、きらめく。



あの時…。
保健室から見た姿が、目の前に。

つ、と手を伸ばしてその髪に触れた。


「ん？」

「…。」

「ニノ？」

「…背ぇ、伸びたね。」


誤魔化してみたけど、くすりと笑って横に並んだ相葉さんに頭を撫でられた。


「ニノは俺の髪の毛、すきだよねぇ。なにがいいの？」


バレてた。


「…ナイショ。」

「えー！」


くしゃりと笑う顔も、すきだよ。
さらさらのその髪の毛が、ひかりを反射させるのも、すき。
どこにいても聞いたらわかっちゃう声もすき。

離れた間に膨らんだすきは多くて、ともすれば溢れてしまいそう。
それを相葉さんが気づいてしまいそう。

俺を見てくれる真っ黒の目が、笑う。
そうなると、ちょっと幼くなって可愛くなる。


…うん、それも、すき。


「かわいいなぁ、ニノちゃんは。」


同じタイミングで言われた言葉にびっくりする。


「ちょっとふっくらしたかなぁなんて思ったけど、逆に触り心地が増してる気がするし、」

「…なんのハナシよ。」


俺のツッコミにひゃはは、と笑って。


「変わらないなってこと！」

・・１９→←・・１７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す