キミに出会って。《ＡＮ》

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「じゃあ、わりかしすぐに手術したの？」

「うん、たぶん、早かったんじゃないかな。
とは言え、向こうの言葉なんて全くわかんないから、俺にはさっぱり。
日にち言われてー、受けてー、目を開けてー、みたいな…。」

「お前…完全にヒトゴトだな…。」

「どっかでそんなところはあったかも…。
目開けて天井が見えた時、戻れた、って思った。」


そう。
手術が始まって目を閉じて、
次に目を開けた時。

思ったのはその一言。

成功とかそういうので周りは喜んでくれてたけど、なんというか。
そういうところよりも俺には、また目が開いた…開けられた、そんなことがすごく印象に残ったんだ。


「いつこっちに戻ってきたの？」

「…質問ばっかりだな…。」

「いやそりゃお前、気になるっつーの！」

「ハイハイ…。」

「ハイは1回って教えてもらわなかったのかよ！」


そんなやりとりをしてたら、すんごい勢いで保健室のドアが開いた。


「ニノっ！」

「んえ？
え！翔さん！？」


ほぼ走ってるような速度の足で一直線に向かってきて、強い力で抱きしめられた。


「マジだ…ニノだ…。」

「翔さん…。」


ただただ、されるがまま。
でも、その強い力から、この人もまた待っててくれていたんだとわかって、幸せになる。


「…ニノ。」


潤む目で見つめられて、こっちまでつられてしまいそう。


「翔さん…。」

「ニノ、よかった、元気そうで。」

「翔さん…、」

「ん？」

「留年してたの？」


俺の言葉に、ぶふ！と吹いた翔さん。相葉さんも目を丸くして。


「ンなわけあるか！
ちゃんと卒業したわ！」

「だって居たから。」

「雅紀から連絡もらって飛んできたわ！」


顔を真っ赤にして叫ぶ翔さんが面白くて、ケタケタ笑ってたら、
まったく。といった顔をして頭を撫でられた。


「冗談。
飛んできてくれて、ありがとう。翔さん。会いたかった。」


素直に言う。
翔さんが頷きながらもう一度、抱きしめてくれた時。


「んもー！俺も！いるの！
翔ちゃんもうおしまい！返して！」

「んわ！？」


突然相葉さんに強い力で引き寄せられて、びっくり。

そんな俺らを見て翔さんが笑う。


…ほんの、2年前にはよくあった気がする光景。


それがずっと昔のことのようで。

やっぱり泣きそうになった。

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