だるまる。2 ページ5
次に起きた時にはもう、まーくんは本当にいなかった。
スマホを確認すると、すでに、11時半をまわったところ。
大きく伸びをしてから、思い出して窓の外をみた。
「おー。」
ふわふわと舞う雪は、まーくんと見たときより大きくなってる気がする。
『積もったら…』
寝る前に聞いたまーくんの声が蘇る。
「積もるといいな…。」
俺の言葉も、雪のように宙に舞った。
.
それから。
いつも通りゲームに勤しんでいた俺だけど、いつもと違うことがひとつ。
ちらちらと、窓の外を確認する。
「止んじゃいそう…。」
お昼過ぎに結構な感じに舞っていた雪たちは、夕方を前にして少しずつ少なくなってきていて。
もちろん、地面にも、木々にも、積もった様子はみられない。
自分じゃなくて。
落ち込むアノヒトを想像して、自分の気持ちにも影が落ちる。
『雪、止んじゃいそうだね。』
届いたまーくんからのメッセージ。
俺と同じように、窓を、空を、見てるんだと気づく。
『雪だるま、作りたかったなぁ。』
しょんぼり、のスタンプはやけに可愛いやつだけど、きっと、いまのまーくんは本当にしょんぼりしてる。
『大丈夫。
きっと、雪だるま作れるよ。』
心を込めて返事をした。
.
そして。
「ただいまー！」
「おかえりなさい、まーくん。」
ぱふり、と抱きついてくるまーくんは外気をまとっていて、ひんやりしてる。
暖房の入ってるリビングに連れていくと、「あったかい！」とにこやかに笑った。
「うー、雪、やっぱり止んじゃったね。」
「止んだね。」
「雪だるま、作りたかったんなぁー！」
そういうまーくんに、俺はにやりと笑って見せた。
「？」
「まーくん、雪だるま、作れなかったの？」
「うん？作れなかった！
積もんなかったもんー。」
くそー！って言う姿に笑える。
ホント、作りたかったんだなぁって。
「俺はねぇ、作りましたよ？」
「え！？」
「ふふん。
雪だるま。作ったよ。」
「えー！なんで！いいなー！」
全力で羨ましがるまーくんに、冷蔵庫を指差す。
それに気づいて、キョトンとするけど、すぐに意味を察したようで、冷蔵庫に向かった。
「上？下？」
「ふふ。上。」
「えー？雪だるまなのに？溶けてないかなぁ？」
と、冷蔵庫を開けたまーくんの動きが止まる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 389人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さっちょんぬ(プロフ) - みーこさん» →そういうのは難しいのか…。わたしには想像もできない世界ですが、ラブアンドピースがいちばん！みーこさん、お言葉、ありがとうございます！感動…なお話！？（笑）ゆるく、よろしくお願いしまーす(*'▽'*) (2018年1月11日 3時) (
レス) id: f21edf09fb (このIDを非表示/違反報告)
さっちょんぬ(プロフ) - みーこさん» そう考えると神秘といいますか、本当に不思議ですよね。こーゆーことにみんなが気づいて耳を傾けたら、争いもなく幸せな世界になるのかな…。争うんじゃなくて、もっと平和なやり方で歩み寄れるはずと思っちゃうんですけどね。規模が大きいと→ (2018年1月11日 3時) (レス) id: f21edf09fb (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 待ってます。 (2018年1月8日 12時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 実は子供は魂が行き場所を自分で選択する、と渡米中に言ってたアメリカ人が居ましたね。あからさまに恵まれない悲劇や不遇の人生を歩む人々がなぜ出てくるのか、は私には判りませんが、ひょっとして、生前の行いとかが影響して来るのかなと思います。今年も沢山の感動 (2018年1月8日 12時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
さっちょんぬ(プロフ) - さくらさん» さくらんらん！お返事するのすっかり忘れたうっかり者をゆるしてー！無効になっちゃうやつね！わたしもよくやる！ありがとうー！！ふわっもした空気のお話がね、書きたくなったんだろうね…←時間経ってしまったからよく覚えてない（笑） (2017年12月29日 13時) (レス) id: f21edf09fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さっちょんぬ
作成日時：2016年10月22日 17時
