第1幕第1話「3つの条件」 ページ22
支配人「それじゃあ、さっそく団員寮にご案内しますね。」
支配人の案内で、団員寮へと向かう
いづみ「何かお父さんのことがわかればと思ってここまで来たけど、まさか、お父さんの劇団に入ることになるなんて思わなかったな……」
「そうだな」
いづみ「ごめんね、Aちゃんも巻き込んじゃって……」
「いいんだよ。だって、家族じゃん。おれはおじさんもだよ」
大事な家族のことを傷つけたり、放っておくなんて、そんなの家族じゃない
いづみ「Aちゃん……」
「それより、あの古市ってヤクザの人から出された条件……」
〜〜〜〜
いづみ「条件って……何ですか？」
古市「いいか、一度しか言わないから、よく聞け。一、来月中に新生春組の旗揚げ公演を行い、千秋楽を満員にすること。二、年内にかつてと同じく4ユニット分に劇団員を集め、それぞれの公演を行い、成功させること。三、一年以内に劇場の借金を完済すること。どれか一つでも達成できなければ、問答無用でこの劇場をバーレスクに作り替える」
支配人「無理です！一つ残らず全部無理です！」
「潔いな」
でも、たしかに難易度は高い
古市「なら、今すぐ看板下ろせ」
支配人「殺生な！」
いづみ「旗揚げ公演だけならまだしも、年内に四回公演なんて、いくらなんでも無茶です！あと10か月もないのに！せめて、丸一年くらい待ってくれても――」
古市「甘ったれんじゃねえ！」
ヤクザが突然ヤクザらしいどすの利いた声を発する
いづみ「っ、」
「……」
支配人「ひい！」
古市「この劇団の借金がいくらか知ってんのか？1000万だ」
いづみ「い、1000万……！？」
綴「うわー……マジっすか」
咲也「想像できない……」
「貯金全額つぎ込んでも半分しか返せない」
残りを返す間にも利子やらなんやらが増えて、多分返せない
個人の収益じゃ限界がある
綴「え、A、五百万は返せるのか……！？」
咲也「すごいお金持ちですね……！」
「いや、多分オレ一人じゃ無理」
いづみ「……無理ですね。諦めましょう」
支配人「監督までそんなこと言わないでください……！」
古市「わかったか？俺は最大限譲歩してやってる。これ以上は譲れん。それとも……。お前が泡に沈んで返済するっいうなら、話は別だがな」
いづみ「――っ」
ヤクザの手が、いづみの方へと伸びる
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作者名：とりけらとぷす | 作成日時：2021年9月8日 19時
