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バンッ
急いで劇場に戻り、扉を開けると、ヤクザが仁王立ちして待ち構えていた
もちろん、後ろには忠犬チンピラが控えている
古市「ほう、逃げはしなかったか」
咲也「はあ、はあ……何とか間に合いました、よね!?」
支配人「ぜえぜえ、新……ぜえぜえ、入団……ぜえぜえ」
綴「無理しない方がいいっすよ、支配人」
いづみ「はあ、はあ、新入団員、連れてきました!」
真澄「……来た」
「約束通りだ」
古市「首の皮一枚繋がったか…運のいい奴らだ」
支配人「じゃ、じゃあ、取り壊しはこれで…!?」
いづみ「よかった……」
古市「何を安心している。俺は団員を集められたら、今日のところは引き上げると言っただけだ。昼間説明した通り、新入団員が二人増えたところで、この劇団が存続できるはずがない」
何言ってるんだこいつら、というような目でこちらを見るヤクザ
支配人「えええ!」
いづみ「そんな……」
「やっぱりか」
真澄「もう解散?」
綴「ワケありのワケがシビアすぎる」
支配人「せっかく新生春組が発足できそうなのに…やっぱり無駄だったんだ…上げて落とすとか鬼畜ぅ…」
古市「新生春組?」
支配人「そうです!集まれば新生春組の公演が――!」
古市「その新生春組とやらの旗揚げ公演はいつやるんだ」
支配人「え?えーと、いつぐらいですかね、監督?」
いづみ「え!?私?」
「普通、どんくらいかかるの?」
いづみ「…うーん、もし皆で旗揚げ公演をやるとしたら、じっくり基礎から稽古を積んで半年後くらいには…」
古市「そんなに待てるか」
「でも、皆経験浅いし、ある程度時間は必要だろ」
古市「来月だ」
「は?」
さすがに素人のオレでも聞き返してしまうほど、無茶なことを言われたような気がした
古市「死ぬ気で猛練習して、来月中には公演を行え」
とんでもない無茶だった
大学の授業内の課題曲だってもうちょっと時間をもらえるのに、ましてや舞台…
いづみ「来月って、一か月しかないってこと!?無理ですよ!」
支配人「鬼!悪魔!じわじわいたぶろうなんて、ドSキャラで人気取りですか!?」
古市「わけのわからん言いがかりをつけるな。特別に最後のチャンスをやろうと言ってるんだ。今から言う三つの条件を満たせたら、借金の完済はしばらく待ってやらんこともない」
「条件…」
こうしてオレたちの、まるでお芝居のような生活が幕を開ける――
To be continued...
第1幕第1話「3つの条件」→←プロローグ第6話「最後のチャンス」
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作者名:とりけらとぷす | 作成日時:2021年9月8日 19時